2014 Fiscal Year Annual Research Report
Enterococcus hirae由来V型ATPaseの回転機構の解明
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14J10948
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
皆川 慶嘉 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | EhVoV1のペリフェラルストークの役割 |
Outline of Annual Research Achievements |
Enterococcus hirae由来V-ATPaseの親水部位であるV1部分と全複合体であるVoV1それぞれの回転トルクの測定を行った。結果としてVoV1では回転子・固定子間の相互作用がセカンドストークにより安定化されていることを示唆する結果が得られた(Ueno H, Minagawa Y et al J. Biol. Chem. (2014)。 EhV1を構成する3つの触媒サブユニットにおいて1回転中にどの停止角度で反応素過程が起こっているのかは未だ理解されていない。そこでV1を構成する3つの触媒サブユニットであるAサブユニットの1つにATP結合と他の反応素過程のいずれかが遅くなる変異体を導入し、2つの遅くなった反応素過程の角度を同定することが目的である。まず、ATP結合と他の反応素過程が遅くなる変異体の作製に成功した。その変異体(F425E)はATP結合速度(kon)が1/4000、の解離、Piの解離の速度のいずれかは1/20となっている。そのAサブユニットの変異体(F425E)をEhV1に1つだけ導入したハイブリッド分子を作製した。そのハイブリッドでは、F425Eの遅くなった反応素過程に対応する停止が長くなり、ATP結合角度や他の反応素過程の停止角度が同定可能となる。ハイブリッドの各停止点を停止時間が短い順にshort、middle、longとすると、shortとmiddleの停止時間はATP濃度によってほとんど変化しなかったが、longはATP濃度によって変化したこの結果はlongがF425E変異体のATP結合待ちの停止に対応することを示している。また、middleはF425E変異体のもう一つの遅い反応素過程に対応すると考えられる。よって、ATPの結合角度を0°とした時、240°でもう一つの遅い反応素過程が起こことが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初研究目的に対してやや遅れている理由として、下記のようなことが挙げられる。 1.当初、腸内連鎖球菌V1(EhV1)のトルクのみを求める予定であったが、EhV1の2つの回転状態が何に起因するのかを確かめるため、EhVoV1との回転トルクを評価を行っていたこと。 2.ハイブリッドEhV1を作製するため、野生型に対して2つの反応素過程が遅い変異体の作製を試みていたが、予定よりも変異体の探索に時間を要した。 3.ハイブリッドEhV1の作製方法として、別の回転分子モーターであるF1の方法に倣い行った。具体的には、不安定な温度条件下で野生型と変異体を混ぜておくことにより、ハイブリッドEhV1の形成を試みた。しかし、同じ方法でのハイブリッド作製は難しく別の方法を模索していた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は下記のような順で研究を推進する 1.野生型と変異体のハイブリッドの作製に成功し、ATPの結合角度を0°としたときに、もう1つの遅い反応素過程が240°で起こる事が分かった。今後は、ATPγSによる回転計測、Pi高濃度条件下による回転計測を行い、変異体のATP結合ではない遅い反応素過程の同定を行う。 2.1.の後、ATP結合とADP解離の角度を明らかとするため、蛍光ラベルされたATPを用いて、回転と蛍光の同時計測を行う。
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Research Products
(5 results)