2014 Fiscal Year Annual Research Report
全固体リチウム電池の高容量化に向けたアモルファス電極活物質の創製と反応機構解析
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14J11083
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
松山 拓矢 大阪府立大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | アモルファス電極 / 全固体電池 / 遷移金属硫化物 / 構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
アモルファス電極材料として、アモルファスTiS3とアモルファスMoS3の作製を行い、全固体電池に適用した。アモルファスTiS3とアモルファスMoS3は、メカニカルミリング法により作製した。作製したアモルファス電極活物質を全固体電池に適用した結果、既存の正極材料であるLiCoO2よりも3倍以上の容量が得られ、この電池は良好なサイクル性を示すことを見出した。また、充放電後のアモルファス電極活物質をXRD、ラマン分光、TEM観察、XPS測定、XANES測定によって行った。その結果、どちらの電極活物質も充放電後には、充放電前と同様の構造を有していることが明らかになった。このため、これらの電極活物質を用いた電池は、良好なサイクル特性を示したと考えられる。さらに、リチウム電池だけでなく次世代型の電池として有望であるナトリウム電池にもアモルファスTiS3を適用した結果、室温でも高容量を示す全固体ナトリウム電池が作製できることを明らかにした。 また、アモルファス電極材料の優位性を明らかにするために、結晶での報告例があるTiS3結晶を固相法によって作製し、この材料の電池特性および充放電後の構造を調べ、アモルファスTiS3との比較を行った。この結果、TiS3結晶を用いた電池において、初期充放電時に不可逆容量が確認された。この原因を調べるために構造解析を行った結果、電池のサイクル数を重ねると、電極活物質の結晶性が低下し、アモルファス化していくことがわかった。一方、アモルファスTiS3は、不可逆な構造変化が起きず、さらにサイクルを重ねても充放電前と同様の構造を有しているために、安定なサイクル性が得られた。以上から、アモルファス電極活物質は、魅力的な電極材料であることを明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アモルファス電極活物質として、アモルファスTiS3、MoS3を作製し、全固体電池に応用した結果、既存の正極材料であるLiCoO2と比較して大幅な高容量化を達成した。作製したアモルファス電極活物質に対して構造解析を行った結果、充放電前後で大きな構造変化が確認されないため、アモルファス電極活物質を用いた全固体電池は安定したサイクル特性を示したと考えられる。 TiS3結晶とアモルファスTiS3を比較した結果、TiS3結晶を用いた電池において、充放電をくりかえすことでTiS3結晶の結晶性が低下し、アモルファス化していくことがわかった。一方、アモルファスTiS3は、充放電を繰り返しても充放電前と同様の構造を有しているために、安定なサイクル性が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
全固体電池のより一層の高容量化を目指して、アモルファスTiS3よりも硫黄の含有量が多い電極材料の作製を行う。硫黄は、次世代の高容量正極活物質として期待され、硫黄の含量が多ければ電池の高容量化が達成できるが、電子伝導性が低いという課題がある。このため、さらなる高容量化を目指す際に、電子伝導性の課題を解決する必要がある。そこで、添加する硫黄にあらかじめ電子伝導性を付与させて、その後、遷移金属硫化物と複合化させれば、電子伝導性が高い硫黄リッチな電極活物質の作製が期待できる。さらに、価数変化が大きな金属硫化物であるFeS2、MnS2、VS2と硫黄をメカニカルミリング法によって複合化し、アモルファス化させることで、高容量かつ高い電子伝導性を有するアモルファス電極活物質の開発を行う。充放電後の電極活物質に対して構造解析を行い、充放電反応機構を解明する。
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Research Products
(12 results)