2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J11198
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
長谷川 敬亮 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 電波天文学 / 大質量星形成 / 分子雲衝突 / Spitzer Bubble |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はこれまで観測的証拠に乏しかった分子雲衝突による大質量星形成というテーマに対し数十個近くの観測的証拠をあげる事が期待でき、大質量星形成の観測的研究の理解が進むと考えられる。Spitzer bubbleは現在およそ600個確認されており、本研究ではそのうちおよそ100個程度についてCOによる観測を行った。今後本研究によって統計的に何割が分子雲衝突によって形成されたかがわかるため、銀河系内において分子雲衝突による大質量星形成がどの程度有力であるか定量的に見積もることができる。また分子雲衝突候補天体の無バイアスサーベイという性格上、様々な環境、進化段階、物理状態にある分子雲衝突のサンプルを得ることができるため理論モデルの構築に対しても非常に重要なサンプルを与えることになり、将来の研究に対しても非常に重要な役割を担っている。 今年度の研究実績としては 1)Mopraによって39個のSpitzer Bubbleに対してCO(J=1-0)輝線観測の実施 2)ASTEによって27個のSpitzer Bubbleに対して12CO(J=3-2)輝線観測の実施 1),2)において観測された天体のうち複数の天体について非常に有力な分子雲衝突天体候補を発見し、現在そのうちの一つS145について論文執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の本研究は、1)MopraによるCO(J=1-0)輝線観測を用いた半径3′以下のSpitzer Bubbleの観測、2)有力な分子雲衝突候補天体に対するMopraによるCO(J=1-0)輝線詳細観測、3)ASTEによるCO(3-2)高励起線観測を予定していた。これまでMopraによって39個のSpitzer Bubbleの観測が終了した。1)、2)は滞り無く進行しており特に2)については更に有力な天体を発見できた。ASTEによる観測も順調に進行しているため期待通りの研究が進展したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで観測してきたSpitzer bubbleに付随する分子雲の質量、視線速度、距離などの基本的な物理量を見積もり、統計的解析を行う。また理論モデルとの比較として ・質量や速度差、密度などの初期条件を変えた場合どうなるか。 ・形成される星の質量分布。 ・母体分子雲の各初期条件と形成される星の質量の相関。 ・観測を再現するか。 といったことを検討する。
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