2015 Fiscal Year Annual Research Report
ジャンケレヴィッチ郷愁論の体系化--過去の尊厳と悪の問題はいかに両立しうるのか
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14J11214
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
奥堀 亜紀子 神戸大学, 人文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | ジャンケレヴィッチ / 郷愁 / 他者論 / 赦しの問題 / 喪の作業 / フランス現代思想 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年10月18日から平成27年9月15日の期間、ジョエル・アンセル(Joelle Hansel, Raissa and Emmanuel Levinas Center)とゼエヴ・ハーヴィー(Zev Harvey, The Hebrew University of Jerusalem)のもとで、神戸大学に提出する博士論文を執筆した。その成果として、ヘブライ大学で哲学国際シンポジウム (Temporality and Morality, Nostalgia in the thought of Vladimir Jankelevitch)を企画し、“Metaphysics and Moral philosophy in Jankelevitch's Theory of Nostalgia”と題した研究発表を行った。発表では、ジャンケレヴィッチの郷愁論に含まれている形而上学的要素と道徳的要素を整理し、その2つの要素が調和する点として、「他者論」を設定した。現在、イスラエルにおけるジャンケレヴィッチ研究は進展途上にあり、本シンポジウムはイスラエルにおけるジャンケレヴィッチ研究の受容にも貢献した点で意義があった。 帰国後は、他者論の観点からジャンケレヴィッチの道徳形而上学を捉え直し、研究発表を行った。とりわけ、「認識論的な私ではない道徳的な私にジャンケレヴィッチが与えている優位性」と「人称の問題」に注目した点は、デカルトやヴァール、ブーバーやレヴィナスとジャンケレヴィッチを比較する試みとなり、哲学史にジャンケレヴィッチの哲学を位置づけることに貢献したとも言える。 今後の研究の展開としては、「他者論としてのジャンケレヴィッチの道徳形而上学」の観点から赦し論を再検討し、「過去の尊厳と悪の問題が両立しうるか」という問題を念頭に置いた上で郷愁論を再構築し、博士論文を完成させる。こうして、現代社会における喪の作業の現場にも適用しうるジャンケレヴィッチの倫理学が検討されるようになる。したがって、今後は、喪の作業という繊細なテーマを扱うにあたってより誠実な倫理指針を自らにつくっていくことも重要な課題となるだろう。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)