2014 Fiscal Year Annual Research Report
滞日外国籍移住女性をめぐるセキュリタイゼーションの研究-在留資格「興行」を事例に
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14J11387
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
大野 聖良 横浜国立大学, 都市イノベーション研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 滞日外国籍女性 / 入管法 / 興行 / ジェンダー / 国際移住労働 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、在留資格「興行」に関する政策変遷とそれを取り巻く複数のアクターによる言説に焦点をあて、フーコーの「生権力」概念を枠組みに、東・東南アジアから来日した外国籍移住女性に働く受入れ国・日本特有の管理体制として、「ジェンダー化されたセキュリタイゼーション」を理論的に検証することを目的とするものである。 今年度は、本研究の遂行において土台となる課題2点を行った。 課題1について、在留資格「興行」に関する入管政策の制度的変遷を明らかにした。研究方法として、法務省入国管理局発行『出入国管理』、財団法人入管協会発行『国際人流』、日本評論社発行『法律時報』、有斐閣発行『ジュリスト』などの雑誌記事を一次資料として文献調査を行った。従来の入管政策に関する先行研究では、在留資格「興行」の法政策についてあまり言及されていないため、当該資格の制度的変遷をまとめることは本研究のみならず、入管法に関する研究分野においても意義深いと考える。 次に課題2について、在留資格「興行」で来日した女性がどのような産業に受け入れられたのかを明らかにするため、外国籍移住女性の興行を受け入れてきた日本国内の産業(性風俗・風俗産業)の歴史的変遷(1970年代から現在までの規模的・質的変遷)を概観した。研究方法として文献調査を行い、警察庁発行『警察白書』や公益財団法人日本生産性本部余暇創研『レジャー白書』など関係白書・報告書、日本の性風俗・風俗産業をテーマとして歴史研究における先行研究を用いて課題を遂行した。女性史を含めた歴史研究では戦前・戦後の性産業に関して多くの先行研究が蓄積されている。しかし、本研究の対象となる時代については断片的であり、さらに当該産業と当該産業の担い手として外国籍女性の存在はほとんど言及されていないため、本課題の遂行は当該産業の新たな側面を明らかにする点で意義があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度で遂行すべき課題に関する主な文献収集およびデータベース化(各課題についての歴史的変遷をエクセル入力)を行ったため、本研究の目的を達成するための土台はおおむね形成できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
文献収集に大幅な時間を割いたため、遂行した課題についての研究発表(論文投稿や学会発表)を本年度中に計画通りに行うことができなかった。研究再開後は新たな課題に取り組みつつ、本年度に集めたデータをもとに積極的に研究会や学会で研究発表を行う。そして、研究発表によって得られた知見や助言を次年度の課題遂行に還元していきたい。
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