2014 Fiscal Year Annual Research Report
アルカリ金属イオン二次電池負極材料の創製とそれを活かす機能性界面の構築
Project/Area Number |
14J11485
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
清水 雅裕 鳥取大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | リチウムイオン電池 / ナトリウムイオン電池 / イオン液体 / 電解液 / ガスデポジション / ケイ素 |
Outline of Annual Research Achievements |
ケイ素(Si)は現行のリチウム二次電池(LIB)負極である黒鉛の10倍もの高い理論容量を有することから次世代高容量負極材料としてその活用が求められている.これまでに申請者はSi負極にイオン液体電解液を適用することで従来の一般的な有機電解液と比較してその性能が大きく向上することを見出している.本研究では,そのイオン液体のカチオン構造を制御することで負極-電解液界面のLiイオン移動をスムーズに行わせることでSi負極の性能向上を試みた.
カチオン側鎖にエーテル基を導入したもの(PP1MEM)では,側鎖がアルキル基のもの(PP16)と比較して初回可逆容量が約900 mA h g-1も増大し,Siの潜在的な高容量を発揮させることに成功した.また,電解液バルクのラマン分光解析から,エーテル基の酸素原子がLiイオンに溶媒和するTFSAアニオンの数を減少させる機能を有することを明らかにした.一般的な有機電解液では100回の充放電サイクル後に大きく容量が減少したのに対し,PP1MEM-TFSAを適用したものでは1000 mA h g-1の容量を維持する優れた負極特性が得られた.
結晶性Siが充放電後に非晶質化する現象を利用し,電極上でLiと反応したSiの部位を顕微ラマン分光法によりマッピングすることで,PP1MEM-TFSAにおけるSi電極のサイクル性能向上のメカニズムを検討した.PP1MEM-TFSAを用いた場合,有機電解液を用いた際に起こる電極への局所的なLi挿入が抑制され,電極全体で均一なLi化反応が起きることが分かった.これにより相対的に電極にかかるダメージが小さく充放電サイクル寿命が改善されることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イオン液体のカチオン構造に適切な官能基を導入することで,Si負極の初回容量を増大させることに成功した.Si負極にイオン液体電解液を適用した際に得られる優れた負極特性の原因を明らかにすることが本研究の重要課題の1つであった.本研究では顕微ラマン分光解析により有機電解液およびイオン液体電解液中におけるSi電極へのLi挿入分布を調査し,このLi挿入特性の違いが電極特性に大きな影響を与えることを明らかにした.
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Strategy for Future Research Activity |
ナトリウム二次電池(NIB)用高容量負極材料の開発を実施する. また,リチウム二次電池(LIB)の研究で得られた知見を活かし,電極性能を最大限に引き出すNIB用イオン液体電解液を探索する.
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