2014 Fiscal Year Annual Research Report
ニジマスにおける不妊魚量産系の開発 ~マグロしか生まないサバの作製を目指して~
Project/Area Number |
14J11560
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
片山 直人 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 遺伝子導入魚 / ニジマス / Creリコンビナーゼ / Cre/loxPシステム / ニトロレダクターゼ / 不妊 / 生殖細胞欠損 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、代理親魚技法の実用化に必須な不妊宿主魚を大量生産するために、遺伝子操作による生殖細胞除去技法の構築を目指している。今年度は、Cre/loxP系を駆使することで、導入した毒素遺伝子の発現をニジマス個体内で制御し、生殖細胞のみが完全に除去された個体の作出を試みた。まず、毒素遺伝子であるdiphtheria toxin A chain遺伝子を保持するが、その発現が抑制された遺伝子導入ニジマスを4系統作出した。次に、これら4系統のF1雌個体と、生殖細胞でCre酵素を生産する遺伝子導入ニジマスのF1雄個体を交配することで得られた二重遺伝子導入ニジマス(wTg)個体において、生殖細胞が除去されているかを確かめた。その結果、いずれのwTg個体においても生殖細胞の欠損あるいは減少は認められなかった。 また、本研究ではNitroreductase/Metronidazole系を利用した不妊魚量産系の構築も並行して行っている。本法は、生殖細胞特異的にニトロ還元酵素を生産する遺伝子導入魚系統を作出し、当該個体に無毒なMetronidazole(Mtz)を投与することで、当該個体の生殖細胞のみがMtzがニトロ還元酵素により毒物へと代謝され、細胞死により除去される戦略である。本研究では、Mtzの投与法ならびに投与量が確立されていないニジマスを対象魚種としたため、今年度は野生型個体を用い、稚魚への浸漬投与法と未成魚への注射投与法の条件検討を行った。浸漬投与法の検討を行った結果、Mtzが10mM以下であれば生残に影響を与えないことが明らかになった。また、腹腔への注射投与法の検討を行った結果、50mg/kg・bwまでは生残に影響を与えないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Cre/loxP系を駆使した不妊魚量産系の構築に関しては、計画書に記載した通りの行程を経て研究を遂行できたが、結果として生殖細胞を欠損した不妊ニジマスを作出するには至らなかった。また、Nitroreductase/Metronidazole系を利用した不妊魚量産系の構築に関しては、ニトロ還元酵素を生殖細胞で発現する遺伝子導入魚系統のF1世代が成熟せず、F2世代が得られなかったことから、野生型ニジマス個体を用いることでMtzの投与方法ならびに条件を確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
Cre/loxP系を駆使した不妊魚量産系の研究では、上述したように、いずれのwTg個体においても生殖細胞の欠損あるいは減少は認められなかった。これは、wTg個体が持つ片方あるいは両方の外来遺伝子が期待した通りに機能していないことを示唆している。遺伝子組み換え体は、外来遺伝子が挿入された染色体上の位置、ならびに挿入されたコピー数に、外来遺伝子の発現場所や発現量が影響を受ける。したがって、系統数を増やし、さらなるスクリーニングを行うことで、以上の問題を解決する予定である。 また、Nitroreductase/Metronidazole系を利用した不妊魚量産系の構築に関しては、来年度にニトロ還元酵素を生殖細胞で発現する遺伝子導入魚系統のF1雄個体が成熟する予定である。そこで、当該個体と野生型雌個体の交配により得られたF2世代にMtzを投与し、生殖細胞欠損個体の作出を試みる予定である。 さらに、生殖細胞を欠損した遺伝子導入ニジマスが得られた場合、当該個体にヤマメ生殖細胞を移植し、宿主としての評価を行う予定である。
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Research Products
(3 results)