2015 Fiscal Year Annual Research Report
組合せデザインの代数・幾何構造と最適組合せ符号への応用
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14J11700
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
盧 暁南 名古屋大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | Steiner Quadruple System / OOC / Affine-invariant / Grid-block design / Resolvable / Graph labeling |
Outline of Annual Research Achievements |
(i),本年度,以前の研究と密接に関係するシュタイナー四重系(SQS)という組合せ構造を中心し,一連の研究成果を論文にまとめて投稿され,国際誌『Designs, Codes and Cryptography』に受理された.また,デジタル情報通信の一つである光CDMAにおいて使えられる光直交符号と呼ばれる符号の構成問題も非常に密接な関係がある.このSQSの結果を使って,新たな光直交符号を得られた.さらに,アフィン不変という性質は統計的グループテスト,メッセージ認証符号,計算機のfiling schemeなどの様々な分野にも非常に有用であることが分かっている. (ii),遺伝子情報解析のため導入した組合せデザインであるGrid-block designについて,直接構成法はほとんど知られていない.我々は有限体を用いて,巡回的なGrid-block designの直接構成法を考えられた.さらに,大きいサイズ2×kのGrid-block designに対して,代数的整数論の手法を用いて,無限系列が存在することが証明できた.Grid-block designの直接構成法は難しいグラフのラベリング問題に応用できるアイデアを提供し,類似な問題で活用可能な方法となっている.実際の応用する場合,分解可能(Resolvable)という性質を持つ Grid-block design が望ましい.しかし,分解可能な 2×k grid-block design は存在しないことが明らかにされているから,分解可能な Grid-block covering という組合せ構造が望ましい.含まれる Grid-block の数が最小となる最適な Grid-block covering に組合せ的特徴付けを行い,構成法を与えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(i)については,予想より多い結果が得れらた.アフィン不変なデザインの存在性と構成法の研究は,有限射影直線における特殊線形群という代数構造の性質を用いて,CG というグラフを定義し,このグラフの隣接関係に注目して,グラフの性質を部分的に明らかにした.このグラフは新たな代数的グラフであり,代数学(組合せ群論)と深い関連性があり,巡回的な SQS の存在性問題を完成に解決できるように, 新しい道を指摘している.さらに,我々の研究に使われるCG グラフとデザイン理論の有名な Kolher グラフは同型であることを示した.そして,アフィン不変な SQS の直接構成法を用いた CG グラフを解析整数論を利用して,1因子の漸近存在性問題を目指す,組合せ論的手法と数論の計算を組み合せて構成する手法を試みることが可能になった. (i)について,論文2本をまとめて投稿した.さらに,巡回的な Grid-block design の直接構成法は難しいグラフのラベリング問題に応用できるアイデアを提供し,類似な問題にも活用可能な方法となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
(i)については,我々の研究に使われるCG グラフとKöhler グラフとは同型であることを示した.その故に,KGグラフにおける「complete interval」という整数論の予想[3]は我々のCGグラフにも準用されることがわかる.実際に,KG(CG)グラフに1因子が存在するためは「3つの条件」が要求される,[3]では「2つの条件」しか使っていない.そこで本研究ではすべての「3つの条件」を考えて,さらに一般化されたKloosterman和などの解析整数論的な手法を用いて,CGグラフの1因子の漸近存在性における上下限界値の改良を図る.一方,CGグラフは有限体上の特殊線形群PSL(2,p)の生成集合から定義されている.これから,組合せ群論的立場からグラフに内在する性質を解明することも期待できる. 我々はアフィン不変なSQSが存在するための必要条件を示した.しかしながら,構成できるSQSはアフィン群の作用による全ての固定部分群が自明である.固定部分群が自明でない場合は複雑な表示を持つことが多いため,その代数構造はわかっていない.この問題に対して,代数構造を解明し,それに再帰的な手法を加え,具体的構成法を研究する予定である. (ii)について,我々は巡回的Grid-blockデザインを着目し,代数的整数論を用いて,存在する十分条件を確かめ,構成法を提案した.しかしながら,Grid-blockのサイズが大きい場合は,数論的に「きれいな」条件を満たさないことが多い.そのため,組合せ論的手法と数論の計算を組み合せてより一般化された構成法を試みる.
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Research Products
(10 results)