2014 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロフィードバックを用いた患側手の自発的使用の意思決定介入
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14J11742
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
雨宮 薫 慶應義塾大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 運動意思決定 / 意思決定 / 両肢選択 / 自発脳活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目標は、脳損傷により障害を受けた麻痺側を患者自身が積極的に利用するという意図を促進することである。そのために、麻痺側を選択しようとする意図に特徴的な脳活動パターンを機械学習の手法を用いて同定し、同定した神経活動を強化学習の手法で強化する(ニューロフィードバック)。その結果として麻痺側選択の意図をもたらす脳活動パターンの強化を狙う。本年度はまず第1段階として、健常者を用いて課題に際して利用する手が左右のどちらであるかを運動に先行する脳活動から判別する実験を行った。使用する手の選択を伴うリーチング課題を実験課題とし、計測には時間分解能が高く非侵襲計測が可能な脳波を利用した。通常、リーチングするべきターゲットが提示された後に左右の手のどちらを選択されるため、ターゲット提示後の脳波活動から後にどの効果器(左右どちらの手かなど)を判別することが可能である。しかし、ターゲットが不明瞭なほどターゲット提示前の自発脳活動がのちの知覚決定に影響するとの報告を受け(Bode et al., 2012)、本研究では自発脳活動に着目した。ターゲットが提示されていない自発脳活動から後の左右手選択の判別を行った。実験ではターゲットを短期間提示し、左右手のどちらかを強制的に選択してリーチングを行わせた。サポートベクターマシンを用いて判別を行った結果、もっとも高い判別率は80%にいたった。またターゲットが不明慮ではなく左右手選択が簡易なほど自発脳活動に影響されにくく、明瞭な場合と不明慮な場合で判別率スコアの分布が有意に異なっていた(被験者12名中8名)。また、ターゲット提示からさかのぼり約2秒前の自発脳活動および直前の自発脳活動が、後の選択に影響していることがわかった。このことから後の選択に影響する自発活動の強度も系時的に変化していることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自発脳活動が後の運動の意思決定に影響している可能性を示すことができた。この実験結果は、脳卒中など半側麻痺がある患者がどのように自発脳活動が運動の意思決定に影響しているかを調べる礎になると考えられ、今後の研究計画において根幹部分になると考えられる。しかし、自発脳活動の影響は個人差が大きく、また時間における揺らぎも個人内で非常に大きいため、今後のニューロフィードバックに用いるための確固とした脳活動として不十分でもあることから、達成度をおおむね順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後のニューロフィードバックを行うために、まずは健常者を用いて、後の選択にもっとも影響する自発脳活動の時間・特徴量をさらに検討する。次に半身麻痺を呈している脳卒中患者を用いて、後の左右手選択に自発脳活動が影響するのか、さらには健常者と同じ特徴量が影響するのか否かを実験的に検証する。
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Research Products
(1 results)