2014 Fiscal Year Annual Research Report
有用な実行不可能解を活用する複数制約付き進化型多目的最適化
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14J11773
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
宮川 みなみ 電気通信大学, 情報理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 制約付き多目的最適化 / 進化計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,制約条件を有する多目的最適化問題の進化計算による解法において,従来は十分に活用されてこなかった制約条件を満たさない実行不可能解の中から,解探索に有用な解を見出し,その情報をもとに解探索することによって,最適化を高性能化・高速化することを目的としている. 本年度は,当初の研究計画の通り,本研究の基盤となる(1)有用な実行不可能解の選別と交配法(指向性交配)と,(2) 探索方向に対する最適化を促進する指向性交配法の拡張に取り組んだ.また,研究の過程で生じた課題に対して,それを解決する(3)有用な実行不可能解のアーカイブ法についても取り組んだ.具体的な成果は以下の通りである. (1) 制約を満たす実行可能解をさらに進化させるため,より良い目的関数値を持つ解が存在すれば,それが実行不可能であっても交配する方法を提案した.実行可能解のみを用いる交配と比べ,解探索性能が高まることを明らかにし,実問題での結果を国内学会にて発表した. (2) まず,a)目的空間における選択領域を制御する方法を導入した.交配相手が多数得られる場合は選択領域を狭めて探索方向への指向性を強化し,相手が存在しづらい場合は選択領域を広げて指向性を緩和するように適切に制御することで,解探索効果がさらに高まることを明らかにした.この成果は学術論文誌への掲載が決定している.また,b)それぞれの実行可能解の目的空間における存在位置に応じて,独自の探索方向を与える交配解の選択法を提案した.これにより,広く分布する最適解集合が得られやすくなった.この成果は国内学会で発表した. (3) 有用な実行不可能解を繰り返し活用するためのアーカイブ法を提案した.これにより,多くの実行可能解が,より良い目的関数値を持つ交配解を見つけやすく,解探索性能がさらに高まることを明らかにした.(2-a)の結果と合わせ,国際会議で発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,研究計画で予定した通りの課題に取り組み,それぞれの課題に対して期待する結果が得られており,従来法より解探索性能を向上させることに成功した.これらの成果は,制約付き多目的最適化において実行不可能解を活用することの有用性と,制約違反量だけでなく目的関数値を同時に考慮して選択した解から新しい探索点を生成することの重要性を明らかにした.今後予定している採択済みの国際学会での発表1件を含めると,それぞれの研究成果のまとめもおおむね済んでおり,研究は順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,実行不可能解の活用に対して,特に親の選択法に焦点を当てた方法の提案とその改良に取り組み,計画に沿って研究が進展した.平成27年度は,当初の計画通り,解空間に焦点を当て,選択した親の変数(遺伝子)情報の効果的な活用法について探求する.そのために,まず変数空間と目的空間における解の分布を調査し,その結果をもとに新しい探索点の効果的な生成法を探求する予定である.
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Research Products
(6 results)