2015 Fiscal Year Annual Research Report
苦鉄質包有岩中のジルコンを用いた、大陸下部地殻の年代および組成推定法の開発
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14J12001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 和恵 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 花崗岩 / ジルコン / Lu-Hf同位体比 / 酸素同位体比 / 大陸地殻 / スラブメルティング / タイタオ |
Outline of Annual Research Achievements |
花崗岩の形成過程やその源岩の解明は、地球の歴史を解明するために必要不可欠である。地球史上花崗岩が大量に形成された太古代の花崗岩形成過程はよくわかっていない。本研究では、太古代型のプロセス(沈み込む海洋地殻の部分溶融)で花崗岩が形成されたとされる、チリ・タイタオ花崗岩に注目し、花崗岩中のジルコンとその周囲の岩石(堆積岩・大陸地殻に衝上した海洋地殻断片)に対し、Lu-Hf同位体局所分析を行った。Lu-Hf同位体比は岩石の種類ごとに異なるため、花崗岩とその起源物質候補のLu-Hf同位体比を比較することで、花崗岩の起源物質を推定することが可能だからである。 昨年度までに測定した花崗岩・周囲の岩石中の酸素同位体比の結果を組み合わせた結果、タイタオ花崗岩の起源物質として、1.堆積物, 2.沈み込む海洋中部地殻~下部地殻 の両者が含まれていることが明らかになった。1つめの結果は、先行研究で示唆されていた、花崗岩への堆積物の寄与を支持する成果である。 本結果の最も重要な点は、太古代型の花崗岩形成過程において、沈み込む海洋地殻内の部分溶融深さが明らかになったことである。これまでは、モデル計算などから海洋上部地殻の部分溶融によって花崗岩が形成されることが示唆されてきた。しかし、本研究で得られた酸素同位体比・Lu-Hf同位体比データは、タイタオ花崗岩の形成は海洋上部地殻の部分溶融のみでは説明できず、海洋中部地殻~下部地殻の寄与が必要であることを示している。この結果は、太古代の主要な花崗岩形成過程であるスラブメルティングの従来の熱的・物質的モデルに変更を迫る、重要な意義を持つ。本研究において提示された結果を基に、新しいスラブメルティングのモデルを構築することで、これまで不確定性の大きかった、地球史を通した花崗岩形成過程・形成量への理解を深められることは間違いない。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)