2015 Fiscal Year Annual Research Report
シグナル伝達の時間パターンから解明するリガンド選択的な遺伝子発現機構
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14J12344
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土屋 貴穂 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | cell differentiation / ERK / gene expression / system identification / compressed sensing / signal recovery / different time-scale |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞は、上流における数十分スケールのシグナル伝達活性から下流において数時間から数日スケールの遺伝子発現の誘導へと上流の情報をデコード処理しており、分化や増殖などの細胞運命を制御している。しかしながら、そのような時間スケールの異なるシステムを同定する手法は提案されていなかった。そこで、圧縮センシングという工学で画像修復や超解像に広く用いられているスパースなデータから信号の修復を行いながら信号処理する技術を応用することで、時間スケールの異なる時系列データからでも欠損しているデータを信号修復しながらシステム同定を行う手法を開発して適用可能かどうか検討を行った。本研究においては神経分化の研究に用いられているPC12細胞を用い、ERKとCREBリン酸化および、初期応答遺伝子Immediate Early Genes産物、PC12細胞において表現型である神経突起身長と相関があるデコーダー遺伝子のmRNA発現のスパースな時系列データを前年度までに計測している。そこで、これら計測データに対して上述の手法の適用を試みた。これら適用の際には、他にもテストデータを複数用意して本手法の妥当性について吟味を行った。本手法が本研究におけるスパースな時系列データに適用できる可能性が示され、圧縮センシングという画像修復や超解像に広く用いられている信号処理技術が本研究の様なスパースな時系列データを用いたシステム同定手法にも応用できることを示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の構想とは異なり、圧縮センシングという工学で画像修復や超解像に広く用いられているスパースなデータから信号の修復を行いながら信号処理する技術を応用することで、時間スケールの異なる時系列データからでも欠損しているデータを信号修復しながらシステム同定を行う手法を開発して適用可能かどうか検討を行った。本研究においては神経分化の研究に用いられているPC12細胞を用い、ERKとCREBリン酸化および、初期応答遺伝子Immediate Early Genes産物、PC12細胞において表現型である神経突起身長と相関があるデコーダー遺伝子のmRNA発現のスパースな時系列データを計測している。計画通り、これら計測データに対してシステム同定手法の適用までこぎつけることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
システム同定した解析結果から示唆される仮設を立てて検証実験を行う。
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Research Products
(2 results)