2014 Fiscal Year Annual Research Report
ポリケタイド合成酵素の機能改変による新規分子骨格の創出および物質生産系の構築
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14J12365
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
張 驪駻 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | コンビナトリアル生合成 / ゲノムマイニング / 合成生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では多くの医薬品が含まれるポリケタイド化合物の生合成による生産基盤を確立すべく、1型ポリケタイド合成酵素(Type I PKS)の合理的機能改変を目指した。初めに本テーマのターゲット化合物である直鎖ポリエンポリケタイド、メディオマイシンの生合成遺伝子クラスターの配列解析を行った。その結果メディオマイシン生合成遺伝子は9つのORFからなるPolyketide Synthase (PKS)群にコードされた27モジュールにより生合成されていることが判明した。これほどまでに巨大なPKSは報告例が極めて少なく、どのような経緯で形成されたかは興味深い。また、類似化合物ECO-02301の生合成を担うPKS遺伝子と比較分析の結果より、二つの化合物の構造の違いは遺伝子の点変異二由来するのではなく、ドメインの組換えによって生まれることを明らかにした。具体的には、遺伝子の組換えはketosynthase(KS)ドメインとAcyl Career Protein (ACP)ドメインの相互作用を保存した状態で行われること、およびAcyltransferase(AT)ドメインは組換え自由度が高いことが明らかとなった。この2遺伝子の進化的背景に加えて他の類縁化合物の遺伝子情報も合わせて分析する事で、PKSの合理的機能改変の方法論を確立できることが期待される。また、ポリケタイド骨格に硫酸転位を行う修飾酵素MedBを同クラスター内に同定し、本酵素の硫酸転位活性を確認することに成功、また本酵素が広汎な基質特異性を示すことを明らかにした。今後詳細な基質認識機構を解明することで、硫酸化反応のバイオカタリストとしての応用に繋げたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メディオマイシン生合成遺伝子を取得し類似化合物の生合成遺伝子と比較解析を完了し、またポリケタイドの修飾酵素の機能解析に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
類縁PKS遺伝子同士の比較解析により得られた情報をもとに、人為的な組換えPKSを作成し、生産物の確認を行う。また、得られた遺伝子情報を元に予測した絶対立体配置が正しいことを化学的手法を用いて確認する。
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Research Products
(2 results)