2015 Fiscal Year Annual Research Report
evectin-2による逆行性物質輸送の制御機構の解明
Project/Area Number |
14J12380
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松平 竜之 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | recycling endosome / phosphatidylserine / AP-1 / clathrin / Hippo pathway / evectin-2 |
Outline of Annual Research Achievements |
逆行性輸送経路はタンパク質や脂質が細胞膜からゴルジ体へと輸送される経路であり、個体の発生、細胞の増殖及び正常な機能維持のために必須であることが報告されている。近年、逆行性輸送によって運ばれる分子がゴルジ体へと到達する過程で、エンドソームの一つであるリサイクリングエンドソーム(RE)を経由することが明らかになってきた。当研究室では、REを介する逆行性輸送の制御分子としてevectin-2、SMAP2、AP-1/クラスリンという分子を同定し、その機能について報告してきた(Uchida et al. PNAS (2011), Matsudaira et al. PLoS One (2013))。今年度、さらにAP-1/クラスリンという分子がSMAP2と協調してREからの逆行性輸送を制御することを報告した(Matsudaira et al. J Cell Sci. (2015))。現在、REの新規機能の同定のため、REにPhospatidylserine(PS)が多いという性質を利用し、evectin-2のPH domain由来のPSプローブ(Uchida,et al. PNAS (2011), Lee et al. EMBO J (2015))と、周辺ビオチン化タンパク質BirA*をつなげたコンストラクトを作製し、その安定発現細胞株を樹立、ビオチン添加によりPS近傍のタンパク質をビオチン化させたのち、質量分析によってPS近傍タンパク質を網羅的に同定した。その中に、PSが豊富に存在するオルガネラであるREでの局在が報告されている分子や、PSに結合することが示されている分子が少なからず同定されており、この系の妥当性が認められた。解析の結果、予想外にも組織の大きさを制御するHippo pathwayに関与する分子の同定が確認され、実際にいくつかの分子がREで制御されることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
修士課程の頃から解析を行っているSMAP2/clathrin/AP-1という軸がREからの逆行性輸送を制御するということをJCSに報告できたとともに、共著者としてPSのフリッパーゼの研究に貢献し、EMBO Jに投稿出来たため。またPS近傍タンパク質の解析から、予想外のシグナル伝達系とPSの関与が浮かびあがり、その解析が順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
Hippo pathwayとPSとの関係性を更に明らかにする。細胞レベルでの両者の関係についての解析は概ね終了したので、次はin vivoで、evectin-2および結合タンパク質ががん細胞の増殖、コロニー形成能、造腫瘍能にどの程度寄与するのかの実験を行いたいと考えている。また、SMAP2/clathrin/AP-1とREの関係についても更に詳細な分子メカニズムの解析を行う。
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[Journal Article] Transport through recycling endosomes requires EHD1 recruitment by a phosphatidylserine translocase.2015
Author(s)
Lee S, Uchida Y, Wang J, Matsudaira T, Nakagawa T, Kishimoto T, Mukai K, Inaba T, Kobayashi T, Molday RS, Taguchi T, Arai H.
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Journal Title
EMBO J
Volume: 34
Pages: 669-688
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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