2016 Fiscal Year Annual Research Report
カスパーゼ1活性化のアウトプットを制御する分子機構およびその生理的意義の解明
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14J12382
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
劉 霆 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | インフラマソーム / カスパーゼ1 / lapatinib |
Outline of Annual Research Achievements |
カスパーゼ1はマクロファージなどの免疫細胞において、様々なストレスに応答し形成されるタンパク質複合体インフラマソーム内で活性化し、炎症性サイトカインIL-1bの分泌および炎症性細胞死の実行を制御している。これまでの研究からカスパーゼ1活性化の制御機構については多くの知見が蓄積されてきたが、活性化カスパーゼ1がその2つのアウトプットを制御する分子機構、あるいは臨床応用が可能となり得る化合物による制御機構はほとんどわかっていなかった。そこで私は、カスパーゼ1の活性化を単一細胞レベルで可視化可能なFRETプローブを用いたライブイメージングシステムと化合物ライブラリーを組み合わせたスクリーニング系を駆使してこれらの制御機構解明に取り組んだ。 今年度は、前年度のスクリーニングにより同定した化合物群がインフラマソーム経路に与える効果をより詳細に検討したところ、EGFR・Her2阻害剤であるlapatinibがNLRP3インフラマソーム経路を抑制することを見出した。また、lapatinibがもつこの効果はEGF-EGFR経路の阻害を介していないことも明らかにした。そこで、lapatinibのoff-targetとして報告されているprotein disulfide isomerase (PDI)について検討したところ、PDI阻害剤である16F16がNLRP3インフラマソーム経路を抑制することを見出した。また、lapatinibと16F16の同時投与により、互いに単独投与時に比べ、NLRP3インフラマソーム活性化抑制効果を増強したことから、2つの化合物は部分的に相補的な効果を発揮している可能性が示唆された。これらの化合物は、これまでにない新たな機構でNLRP3インフラマソームを制御している可能性があり、インフラマソームが関与する様々な炎症性疾患の新たな治療戦略の基礎となることが期待される。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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