2014 Fiscal Year Annual Research Report
計画的ネクローシスにより誘導される生体応答機構の解明
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14J12413
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
進藤 綾大 順天堂大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | cFLIP / Necroptosis / RIPK1 / RIPK3 / MLKL / Apoptosis / Caspases / XCI |
Outline of Annual Research Achievements |
cFLIPs はCellular FLICE-inhibitory protein (cFLIP)のスプライスアイソフォームである。これまでに cFLIPL はカスパーゼ8と会合し、アポトーシスや計画的なネクローシス(ネクロプトーシス)を抑制することで、生体の恒常性維持において必須の役割を果たしていることが明らかとなっている。一方で cFLIPs はアポトーシスを抑制するが、逆にネクロプトーシスを促進することが in vitro の実験から報告されていたが、生体における役割は十分に解明されていない。我々はX染色体の不活性化という現象に着目し、X染色体へ cFLIPs 遺伝子を選択的に導入し、その機能を解析することにした。作製した cFLIPs トランスジェニック(Tg)マウスの♂は胎生期18.5日目で致死となることが判明した。一方で多くの♀の個体は出生し外見上は異常を認めず、妊娠出産が可能であった。組織学的な検索から、胎児期の cFLIPs Tg マウスの腸管では細胞死の亢進が認められた。♂マウスの腸上皮細胞ではアポトーシスが顕著に亢進していた一方で、♀マウスではモザイク状にアポトーシスが誘導されていた。この致死的な表現型は Ripk3 欠損マウスとの交配により部分的にレスキューされることから、in vivo においては RIPK3 依存性のアポトーシスが存在する可能性が示唆された。一方で胎児由来の線維芽細胞をカスパーゼ阻害下で刺激したところ、Tg マウス由来の細胞では野生型に比較してネクロプトーシスが亢進することが判明した。本研究より得られた RIPK3 依存性にアポトーシスが誘導されるという結果は予想外の結果であった。またX染色体へ選択的に遺伝子を導入する方法は、細胞死促進に関与する遺伝子を発現させ、その後の生体応答を解析する上で有用な手法であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
cFLIPS Tg マウスの♂の個体は胎生致死となり、その腸管においてはアポトーシスが亢進していることを明らかにすることができた。この致死的な表現型は Ripk3 KO マウスとの交配により部分的にレスキューされたことから、cFLIPsはRIPK3依存性のアポトーシスを誘導する分子であることを見いだすことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
cFLIPS Tg マウスの腸上皮細胞で認められた細胞死ならびに線維芽細胞で認められた細胞死が、どのような分子機構により誘導されるのかを解析する。 cFLIPS Tg マウスの♀の個体は腸上皮細胞死が亢進しているにも関わらず成獣となることから、代償性増殖機構が誘導されていると考えられる。トランスクリプトーム解析を行い、♀の腸管でどのような増殖因子の発現が上昇しているかを明らかにする。
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