2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J12425
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
向井 健 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 抗腫瘍活性 / カルデノリド / 全合成 / ウアバゲニン / サルメントゲニン |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内ホルモンや細胞膜構成成分に代表される様に、ステロイドは生理学上極めて重要な化合物群である。特に19-ヒドロキシサルメントゲニン配糖体やウアバインなどのカルデノリド類は抗腫瘍活性を有することが近年新たに報告され、これらカルデノリドを用いた創薬研究への応用が期待されている。そのため天然物の構造を基にした構造の最適化を行い、高い抗癌活性を有する非天然型カルデノリドの創成を目指し、研究を展開した。
本年度前半ではまず、市販の化合物から36工程かけてウアバインの母骨格であるウアバゲニンの収束的な全合成を達成した。尚、ウアバゲニンに糖を導入し、ウアバインとする変換反応については既に報告されている。続いて本年度後半では、市販の化合物から28工程にて合成した19-ヒドロキシサルメントゲニンに対する糖の導入法の開発を行った。尚、ここでは合成の容易さを考慮しラムノース保護体を用いた位置選択的なグリコシル化を検討した。検討の結果、多数のヒドロキシ基存在下での位置選択的なグリコシル化は困難であった。そこでこれまでに得られた知見を基に、反応性の高い11,19位のヒドロキシ基を選択的に保護することで、高収率にて3位選択的なラムノース保護体の導入に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の目標であったブリオフィリンAの全合成と構造活性相関研究に必要な36種類のカルデノリド類縁体の合成を達成出来なかった。しかし、本年度の目標の一つであったウアバゲニンの全合成を達成した。加えて、19-ヒドロキシサルメントゲニンに対するラムノース保護体の導入に成功した。これにより、今後構造展開を行う上で問題となっていた大きな課題を解決出来たものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度達成出来なかったブリオフィリンAは、ウアバゲニンの合成中間体から合成可能である。また36種類のカルデノリド類縁体を合成するためには、現在の合成経路では十分な量の合成中間体を供給することは困難である。そこで確立した合成法の短工程化により、合成中間体の供給を目指す。その後、各種非天然型カルデノリドの合成と抗癌活性の評価を試みる予定である。
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