2015 Fiscal Year Annual Research Report
緑茶カテキンEGCGをリード化合物とするがん幹細胞を殺傷する新規化合物の作製
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14J30004
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
熊添 基文 九州大学, 農学研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | EGCG / cGMP / 膵臓癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵臓癌は画像診断による早期発見が極めて難しく、診断時に大半の患者において既に遠隔転移を有している場合が極めて多い。ゆえに、外科的手術といった局所療法による根治は極めて難しく、化学療法の拡充が強く求められている。膵臓癌における化学療法の発達は近年著しく、生存期間の延長が見られつつあるが、5年生存率は5%と非常に予後不良であり、40年間改善されていない。 近年の研究から、癌幹細胞と呼ばれる化学療法に強い抵抗性を有した癌細胞集団が抗癌剤治療後も生残することが癌の再発の原因であると考えられてきた。これまでの報告によると膵臓癌治療における標準治療薬ゲムシタビンは、非癌幹細胞に対し細胞致死を誘導する一方、癌幹細胞に対する効果はない。これらのことから、膵臓がんに対する根治的治療には癌幹細胞に有効な薬剤の開発が必須である。しかし、現在は膵臓癌幹細胞を標的とする抗癌剤は未だ存在しない。申請者はこれまでに、cGMP産生誘導 によりCD44 が阻害され、癌幹細胞としての機能が破綻するという新規の癌幹細胞機能阻害機構を発見している。さらに膵臓癌幹細胞において67LR が過剰に発現していることを発見している。そこでその分子機構の詳細を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度、EGCGの誘導体の一部がEGCGより強力なアゴニスト活性を有することを明らかにした。当該アゴニストを実際の病態に近いマウス腹膜播種モデルに投与した際、顕著な延命効果を示すことを既に確認しており、現在論文を執筆中である。さらに、cGMP が癌細胞を抑制する機構の詳細を明らかにし、此方に関しては現在論文を投稿中である。以上のことから、研究の進捗状況は期待以上と結論付ける。
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Strategy for Future Research Activity |
現在明らかになった作用メカニズムの充実を図る。具体的にはCD44の分解機構の詳細を明らかにする。現在既に候補分子Xを見出しているため、本分子をノックダウンした場合のcGMP産生誘導がCD44発現に与える影響の評価を中心に検討を進める。本分子機構の解明を切り口に新規の癌幹細胞阻害戦略の拡充を目指す。
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Research Products
(4 results)