2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規ポリコーム群複合体による造血制御とその造血器腫瘍における機能解析
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14J40042
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中島 やえ子 千葉大学, 大学院医学研究院, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | ポリコーム / エピジェネティクス / Non-canonical PRC1 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は主にPcgf1とBcorのコンディショナルノックアウトマウスの表現型解析を行い以下のような結果を得た。 まず、タモキシフェン投与により誘導的にPcgf1遺伝子またはBcor遺伝子をノックアウト可能なCre-ERT; Pcgf1fl/fl、Cre-ERT; Bcorfl/Yマウスを作製した。続いてこれらマウスをドナーとして野生型マウスに骨髄移植を行い、タモキシフェン投与を行うことで、成体型造血特異的にPcgf1遺伝子またはBcor遺伝子をノックアウトした。 Pcgf1遺伝子ノックアウトマウスの解析では、造血幹細胞の分化が骨髄球系に強く偏ることが明らかとなり、その結果、長期観察後には骨髄増殖性腫瘍様病態の発症につながることが観察された。この結果は、Pcgf1が造血幹細胞の分化決定において骨髄球系分化の抑制因子として機能していることを示唆するものである。また、Bcorコンディショナルノックアウトマウスの解析においては、造血幹細胞機能の明らかな低下とともに、Bcor欠損マウスの一部が急性リンパ芽球性白血病を発症することが観察された。この発見は、ヒト造血器腫瘍でBCORの機能喪失型変異が同定されるという知見と符合するものであり、Bcorががん抑制遺伝子としても機能することを示している。 次年度は造血幹細胞もしくは造血幹/前駆細胞分画を用いてRNA-sequenceやChIP-sequenceを行い、これら表現型の分子基盤を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では本年度はPcgf1遺伝子ノックアウトマウスの表現型解析が中心となり、Bcor遺伝子ノックアウトマウスの解析は主に次年度になると予想していた。しかしながら、マウス作製の準備が非常に順調に進み、今年度中にBcor遺伝子ノックアウトマウスの解析もかなり進めることが出来た。また、Pcgf1とBcorは同じ複合体の構成因子であると考えられるため、2種のコンディショナルノックアウトマウスの表現型は似たものになると予想されたが、実際には異なる表現型を示し、非常に興味深い展開となってる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は2種のコンディショナルノックアウトマウスの表現型をもたらす分子基盤を明らかにすることを目指す。また、Pcgf1遺伝子コンディショナルノックアウトマウスに関してはPcgf1(Non-Canonical PRC1)とは異なるCanonical PRC1に含まれるBmi1(別名Pcgf4)でのレスキューを試み、Non-Canonical PRC1とCanonical PRC1の機能差異を明らかにする。 また、造血器腫瘍発症に関してはRUNX1遺伝子、TET2遺伝子変異がBCOR遺伝子変異との共存が確認されている。Bcor遺伝子コンディショナルノックアウトマウスにこれら遺伝子変異を共存させ、造血器腫瘍発症モデルマウスの作製を試みる。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Haploinsufficiency of the c-myc transcriptional repressor FIR, as a dominant negative-alternative splicing model, promoted p53-dependent T-cell acute lymphoblastic leukemia progression by activating Notch1.2015
Author(s)
Matsushita K, Kitamura K, Rahmutulla B, Tanaka N, Ishige T, Satoh M, Hoshino T, Miyagi S, Mori T, Itoga S, Shimada H, Tomonaga T, Kito M, Nakajima-Takagi Y, Kubo S, Nakaseko C, Hatano M, Miki T, Matsuo M, Fukuyo M, Kaneda A, Iwama A, Nomura F.
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Journal Title
Oncotarget
Volume: 6
Pages: 5102-5117
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Histone acetylation mediated by Brd1 is crucial for Cd8 gene activation during early thymocyte development.2014
Author(s)
Mishima Y, Wang C, Miyagi S, Saraya A, Hosokawa H, Mochizuki-Kashio M, Nakajima-Takagi Y, Koide S, Negishi M, Sashida G, Naito T, Ishikura T, Onodera A, Nakayama T, Tenen DG, Yamaguchi N, Koseki H, Taniuchi I, Iwama A.
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 18
Pages: 5872-5882
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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