2015 Fiscal Year Annual Research Report
光遺伝学を用いた衝動性における内側前頭前野腹側部-側坐核経路の役割の解明
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14J40100
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
木村 生 慶應義塾大学, 医学部, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 衝動性 |
Outline of Annual Research Achievements |
採用二年目は「内側前頭前野腹側部のD1受容体発現神経細胞は側坐核のドパミン遊離を抑制することで、衝動的行動を制御しているのか?」に取り組んだ。皮質の投射型神経細胞にCreを発現するEmx-Creマウスを取得し、このマウスの内側前頭前野腹側部および島皮質にCre依存的に光抑制性分子を誘導可能な、AAV-DIO-ArchT/GFPを注入し、内側側坐核および外側側坐核に、それぞれ終末投射を確認した。この系の妥当性確認のために、昨年度発見した、外側側坐核と意欲の関係を利用し、島皮質→外側側坐核の投射繊維を光抑制したところ、意欲的行動が減少し、系の動作確認に成功した。当該成果は現在論文投稿中である。 次年度は、この系を利用して、内側前頭前野腹側部→内側側坐核経路の衝動性における役割を明らかにする研究を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
採用研究計画の目的は以下の二つである。 [1] :内側前頭前野腹側部のD1受容体発現神経細胞は側坐核のドパミン遊離を抑制することで、衝動的行動を制御しているのか? [2] :[1] の経路には側坐核のどの受容体分子が関与しているのか? 初年度は計画[2]:[1]の経路には側坐核のどの受容体分子が関与しているか、の解明を中心に取り組んだ。側坐核におけるD2受容体保持細胞のみに細胞死を誘導することのできるマウスを用いて、側坐核におけるD2受容体保持細胞は衝動性の抑制に重要な役割を果たすことを明らかにした。本研究成果は現在論文投稿中である。 本年度は計画[1] :内側前頭前野腹側部のD1受容体発現神経細胞は側坐核のドパミン遊離を抑制することで、衝動的行動を制御しているのか?の解明に取り組んだ。 皮質の投射型神経細胞にCreを発現するEmx-Creマウスを得、このマウスの内側前頭前野腹側部および島皮質にCre依存的に光抑制性分子を誘導可能な、AAV-DIO-ArchT/GFPを注入し、内側側坐核および外側側坐核に、それぞれ終末投射を確認した。この系の妥当性確認のために、昨年度発見した、外側側坐核と意欲の関係を利用し、島皮質→外側側坐核の投射繊維を光抑制し、意欲的行動に及ぼす影響を調べた。これは、Emx-Creマウスの島皮質にAAV-DIO-ArchT/GFPを注入し、外側側坐核にオプティックファイバーを挿入することで達成される(図1)。術後回復期間ののち、意欲的行動課題の遂行中に、外側側坐核に黄色光を当てる。この操作により、島皮質→外側側坐核の投射終末が抑制される。この光抑制操作により、マウスの意欲的行動は有意に低下した(図2)。当該成果は現在投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果により、ウイルスベクターを用いた、皮質→側坐核投射経路特異的な光操作システムの動作確認が得られた。 次年度は当該システムを用いて、内側前頭前野腹側部→内側側坐核経路の衝動性における役割を明らかにする研究を行う予定である。
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