2005 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカインによる免疫応答制御機構と自己免疫疾患の発症機構
Project/Area Number |
15002008
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平野 俊夫 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (40136718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 克彦 大阪大学, 生命機能研究科, 助教授 (10263245)
村上 正晃 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (00250514)
山下 晋 大阪大学, 生命機能研究科, 助手 (90346148)
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Keywords | サイトカイン / IL-6 / GP130 / STAT3 / 免疫 / 細胞運動 |
Research Abstract |
IL-6信号による樹状細胞の機能の制御:これまでの研究から樹状細胞の活性化状態を抑制するサイトカインとしてIL-10が知られて、IL-10もIL-6もSTAT3を細胞内伝達分子に用いていることが報告されている。これまでに、我々はIL-6がIL-10と同様に樹状細胞の活性化状態を変化させるのではないかと考えて実験を行い、マウス生体内の樹状細胞でも、試験管内で誘導した骨髄由来樹状細胞でもIL-6がSTAT3依存性に活性化を抑制することを明らかにして、また、このIL-6依存性の樹状細胞活性化の抑制がマウス生体内にてT細胞の反応性を抑制していることを明らかした(Park et al.2004)。今年は、このIL-6依存性の樹状細胞の活性化抑制効果の分子メカニズムを明らかにする目的で研究を行って以下の結果を得た。マウス骨髄から分化誘導した樹状細胞をIL-6で処理すると、処理時間依存的に細胞内MHCクラスII分子複合体が減少する事を見いだした。この現象はIL-6のシグナル伝達系が樹状細胞内で、転写活性化因子(STAT3)依存的に細胞内のプロテアーゼ阻害剤(シスタチンC)レベルを減少させることでカテプシンSの酵素活性が上昇し、この活性化によってMHCクラスII分子そのものが減少することに起因する事を、分子生物学・生化学的手法等で証明した。さらにこのMHCクラスII分子の減少した樹状細胞は獲得免疫にとって重要なCD4^+T細胞の活性化能も抑えられていることも明らかにした(Kitamura et al.2005)。この研究成果は、抗原提示細胞におけるリソソームプロテアーゼ活性化の分子メカニズムやIL-6の作用機序解明だけではなく、IL-6により積極的にプロテアーゼ活性を制御できるとともに、樹状細胞とCD4^+T細胞が関与する免疫応答もコントロールされうることを意味する。
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