2007 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカインによる免疫応答制御機構と自己免疫疾患の発症機構
Project/Area Number |
15002008
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平野 俊夫 Osaka University, 生命機能研究科, 教授 (40136718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 正晃 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (00250514)
山下 晋 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (90346148)
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Keywords | メモリー T 細胞 / サイトカイン / T 細胞の恒常的な増殖 / 亜鉛 / 細胞内信号 / セカンドメッセンジャー |
Research Abstract |
メモリーT細胞が有為に増加しているMMマウスの責任遺伝子がRAG遺伝子の機能抑制変異であることを発見し、さらに、そのマウスが、オーメン症候群のモデルであることを証明した。また、その病因にCD4T細胞の恒常的な増殖によって誘導されるサイトカインの異常産生が関与することを示した。オーメン症候群は免疫不全と免疫活性化を同時に持つ病気として知られている。人でこの病気の原因遺伝子としてRAG,IL-7受容体等が報告された。主症状として感染、皮膚炎、下痢、T細胞の活性化、B細胞の減少、好酸球増多、IgE増多、成長障害等である。モデルマウスがいなかったのでこれらの症状の内どれが、遺伝子変異によって直接的に誘導されているものか、環境要因あるいは遺伝的背景によつて誘導されているものかが不明であった。今回の発見で本疾患のモデルマウスが発見されてオーメン症候群の診断治療、症状の分子レベルでの解析が進むと考えられる。本論文はcommentary、J.Clin.Invest.117:1213-1216(2007).、News and Views、Nature Immunology 8,561(2007)およびResearch Highlight、Nature ReviewsImmunology 7,416-417(2007)で紹介された。 1957年にEarl W. SutherlandがcAMPがセカンドメッセンジャーとして作用することを発見した。その後カルシウムや脂質、NOなどがセカンドメッセンジャーとして作用することが知られている。亜鉛は必須栄養素であり、タンパク質の立体構造の維持、または酵素活性に要求される金属元素であることが知られている。また神経伝達分子として作用する可能性が報告されているが、細胞内セカンドメッセンジャーとして作用することは不明であった。本研究では細胞外刺激依存的に粗面小胞体付近から亜鉛イオン濃度の上昇が起こる事を明らかにした。この結果から、亜鉛が構造維持や酵素活性のほかに、細胞内セカンドメッセンジャーとして機能する事が明らかになった。本論文は14May 2007付けのIn thisissue of JCBで取り上げられた。
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