2005 Fiscal Year Annual Research Report
不斉自己増殖反応の開拓および超高感度不斉認識・不斉の起源解明への応用
Project/Area Number |
15002010
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
そ合 憲三 東京理科大学, 理学部, 教授 (90147504)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 高範 早稲田大学, 理工学部, 助教授 (80265735)
佐藤 格 関西学院大学, 理工学部, 講師 (80318196)
川崎 常臣 東京理科大学, 理学部, 助手 (40385513)
|
Keywords | 不斉自己触媒 / 不斉自己増殖 / 不斉の起源 / 不斉認識 / ジアルキル亜鉛 / ピリミジルアルカノール / 円偏光 / 絶対不斉合成 |
Research Abstract |
円偏光と不斉自己触媒反応を組み合わせることにより,円偏光が不斉と起源となり高い鏡像体過剰率のキラル化合物が生成する反応を見出した.すなわちラセミ体のピリミジルアルカノールに右または左円偏光を直接照射したのち,不斉自己触媒反応を行うと円偏光の向きに対応した絶対配置を持つピリミジルアルカノールが極めて高い鏡像体過剰率で得られた.また,アキラルなシリカゲル存在下でピリミジンカルバルデヒドとジイソプロピル亜鉛を作用させると,(R)または(S)-ピリミジルアルカノールが統計的分布に従って生成することを明らかにした.本結果は,統計的揺らぎによりわずかに誘起される不斉が不斉自己触媒反応により増幅されたものと考えられ,キラル源を用いない絶対不斉合成の必要条件を満たすものといえる.さらに,アキラルな有機化合物がキラルな結晶を形成することを利用してこれらの結晶存在下で不斉自己触媒反応を行ったところ結晶のキラリティーに対応した絶対配置をもつピリミジルアルカノールが高い鏡像体過剰率で得られた.本結果は,アキラルなN-ベンゾイルグリシンなどの有機化合物が結晶化することにより不斉が生じ,続く不斉自己触媒反応により不斉が増幅したものである.また,キラルな触媒であるアミノアルコールにアキラルなアミノアルコールを添加すると,キラル触媒の本来のエナンチオ選択性が逆転することがあることを見出した.さらに,炭素および水素同位体によるキラル化合物を不斉源とする反応を行った.また,キラルな第4級飽和炭化水素の不斉認識を不斉自己触媒反応により行うことに成功した.
|