2007 Fiscal Year Annual Research Report
不斉自己増殖反応の開拓および超高感度不斉認識・不斉の起源解明への応用
Project/Area Number |
15002010
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
そ合 憲三 Tokyo University of Science, 理学部, 教授 (90147504)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 常臣 東京理科大学, 理学部, 助教 (40385513)
佐藤 格 東北大学大学院, 理学系研究科, 准教授 (80318196)
柴田 高範 早稲田大学, 先進理工学部, 教授 (80265735)
|
Keywords | 不斉自己触媒 / 不斉自己増殖 / 不斉の起源 / 不斉認識 / ジアルキル亜鉛 / ピリミジルアルカノール / シトシン / 反応機構 |
Research Abstract |
種々のキラルな第2級アルコールを不斉開始剤として用いて不斉自己触媒反応を行い,生成物の絶対配置を決定することにより,第2級アルコールの置換基の立体および電子的効果の評価を行うことが出来た。また,アキラルな核酸塩基であるシトシンがかく拌条件下で結晶化すると,キラル結晶が生成し,自発的にプラスまたはマイナスのCDスペクトルを示すことを明らかにした。ここで形成したキラル結晶を不斉開始剤とする不斉自己触媒反応に成功した。従来,生体関連化合物のホモキラリティーの起源として対象がアミノ酸や糖が関心を集めてきた。本研究では,これまでほとんど注目されていないが,重要な生体関連化合物であるアキラルなシトシンがその結晶状態において不斉の起源として作用することを初めて示したものであり,科学的意義が大きいと考えられる。さらに不斉自己触媒反応は不斉反応の反応機構解明にも役立つことを見出した。すなわち,キラルなアミノアルコール触媒にアキラルなアミノアルコール触媒を添加すると,生成物の絶対配置が逆転するという,先に我々が見出した現象に関して,反応速度と生成物の鏡像体過剰率を測定する実験を行った。キラル触媒単独での反応速度,アキラル単独での反応速度およびこれらの混合物を触媒に用いた場合の反応速度を測定した。さらに鏡像体過剰率についても測定を行った。その結果,キラルな触媒とアキラルな触媒が会合したものがキラル触媒として作用し,キラル触媒単独とは逆の絶対配置の生成物を与えるという反応モデルを提唱することができた。本結果は,これまでジアルキル亜鉛のアルデヒドへの不斉付加反応がアミノアルコールモノマー触媒となって進行すると考えれられてきた事に対し,アミノアルコール会合体が触媒活性種となることを強く示唆するものである。
|
Research Products
(36 results)