2005 Fiscal Year Annual Research Report
オートファジーを支える膜動態の解析に基づく細胞内膜形成機構の解明
Project/Area Number |
15002012
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
大隅 良典 基礎生物学研究所, 分子細胞生物学研究部門, 教授 (30114416)
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Keywords | オートファジー / タンパク質分解 / 液胞 / リソソーム / ATG / ユビキチン様タンパク質 / オートファゴソーム / 栄養飢餓 |
Research Abstract |
1.オートファゴソーム(AP)の膜の起源は大きな課題である。ERからの輸送がAP形成に関わるかについて検討した。様々なERからの輸送小胞形成に関わる変異体の解析から何らかのERからの膜の流れが必要である。すべてのAPにERの断片が認められる。 2.オートファジーに特異的な因子であるAtg17の解析を進め、Atg13と複合体を形成し、Atg1キナーゼ活性を促進する。また大きな多量体として存在する。 3.北大・稲垣教授と共同で、多くのAtgタンパク質の構造解析が飛躍的に進展した。UBL、シロイヌナズナのホモログのAtg12の構造を決定した。またAtg12、Atg8のE2酵素Atg3,Atg4に関してもほぼ完了した。 4.atg変異株は飢餓条件下に生存できず、飢餓誘導タンパク質の誘導が顕著に低下する。飢餓により野生株ではアミノ酸のプールが急激に低下するが、3時間後から回復し、一定レベルを維持するが、atg株ではアミノ酸がさらに低下し、ほとんど欠乏状態となる。このアミノ酸の低下がタンパク質合成能の低下の原因であり、飢餓下のアミノ酸プールの維持にオートファジーが最も主要に働く系である。 5.新規のatg遺伝子としてATG29を同定した。AP形成に関わる因子で、PASに局在し、Atg1 kinaseによってリン酸化を受ける。Atg17など多くのAtgタンパク質と相互作用することでAP形成に関わる。 6.すべてのAtgとGFPを融合したタンパク質を本来の遺伝子座から発現するすべてのatg欠損株を構築した。網羅的な細胞内局在の解析によってAtgタンパク質の階層構造が明らかとなった。またAtg17と11がAtg因子のPAS局在化の足場として機能している。 7.オートファジーに必須なAtg14はキナーゼをPI3 kinaseをAP形成の場であるPASに局在化させるために役割を持つ。必須な機能領域が、N-末端の2つのcoiled coilであり、その領域内でVps34とVps6に結合する。 8.動物細胞におけるオートファジーの意義に関する共同研究で、マウス新生児、肝細胞での役割に関して大きな成果が得られた。植物におけるATG4,6,2のノックアウト個体における表現型の解析が進んだ。
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Research Products
(14 results)