2004 Fiscal Year Annual Research Report
体系的RNAiによるショウジョウバエゲノムの機能解析
Project/Area Number |
15011253
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
上田 龍 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 教授 (40353429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西郷 薫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (50136454)
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Keywords | 遺伝学 / ゲノム / 昆虫 / 発生・分化 / RNAi |
Research Abstract |
ショウジョウバエゲノムの全遺伝子13,600個について体系的な機能解析をおこなうため、RNAi変異体バンクを作成している。GAL4-UASシステムを利用してRNAiを条件的に誘導するためのIRベクターを7,000遺伝子以上作成し、現在までに12,500のRNAiハエ系統を樹立した。これらを用いて国内外の多くの研究グループと共同研究をおこなっている。 例えば、糖鎖機能の研究では、ハエゲノムにある260の糖鎖関連遺伝子のおよそ6割にあたる遺伝子の変異体を作成し、種々の組織で遺伝子ノックダウンをおこなうとそれぞれ特徴的な異常表現型が観察された。これらの異常から、生体内で協調して働く遺伝子群をグループ化することが可能であった。また配列からは機能を確定することができない遺伝子についても、このようなグループ化によって機能推定ができた。この研究からは多くの個別機能解析研究が派生している。例えばハエが持つ2つのマンノース転移酵素遺伝子の変異体は共に成虫腹部のねじれという筋ジストロフィーのモデル表現型を示し、遺伝学的解析から両者の密接な相互作用が示された。生化学的な解析から両蛋白質は共発現することで初めてマンノース修飾機能を発揮することが判明し、哺乳類遺伝子群と比較することにより進化的な重要性を示すことができた。 RNAi変異体は二重変異体を作成するなど複数の遺伝子の遺伝学的相互作用解析が容易である。多くのアポトーシス関連遺伝子についてこのような遺伝学的解析をおこなうことにより、生体内のシグナル伝達経路にそれぞれの遺伝子を階層的に位置づけることができた。 幾つかの生命現象について、バンクのハエを使ったスクリーニングが進行している。それらの研究から、RNAi変異体ハエの有用性や限界なども判明しつつある。
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Research Products
(6 results)