2003 Fiscal Year Annual Research Report
ダウン症候群の発症機序解明に向けた21番染色体の全遺伝子構造の解明
Project/Area Number |
15012247
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渋谷 和憲 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90296723)
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Keywords | ダウン症候群 / 21番染色体 / マウスゲノム / 新規遺伝子 / コンピュータ解析 / cDNAクローニング |
Research Abstract |
21番染色体を特徴づける最も代表的なダウン症候群は染色体が増えることによって引き起こされる疾患であるが、その症状を発症させる遺伝子の特定はほとんど進んでいない。我々は2000年5月に21番染色体に存在する遺伝子数を127個の確定遺伝子と98個の推定遺伝子から成る225個と発表した。ダウン症候群の発症メカニズムを解明するためには21番染色体に存在する全ての遺伝子を明らかにする必要がある。なぜなら染色体工学的手法などにより21番染色体を保持するモデルマウスなどの解析の際、導入された領域にどの様な遺伝子が含まれているか分からなければ原因遺伝子を特定することが不可能になるからである。98個の推定遺伝子に関しても完全に実験的にその構造が確認されてはいないので、それらについても全てRT-PCRにより転写産物の構造を実験的に検証しなければならず、14個の予測遺伝子に関して完全な構造を決定した。また、我々は詳細なドット・マトリックス解析により21q22.3の遺伝子高密度領域に165kbの大規模な遺伝子重複領域を発見し、この遺伝子産物がシステインに富んだアミノ酸組成を持つ低分子量の毛髪ケラチン付随タンパクKAP (Keratin-associated protein)と推定していたが、その後の詳細な解析により、21個の遺伝子(内5個は偽遺伝子)がクラスターを形成していることを明らかにした。興味深いことに、この遺伝子クラスターは別の遺伝子(TSPEAR)のイントロンに存在しその内の8個は転写方向が同じであった。この構造から、スプライシングと転写終結の未解明な協調機構の存在が示唆された。さらにRT-PCRによって16個のKAP遺伝子について毛根特異的な遺伝子発現を確認した。KAP遺伝子の特徴は、何れもイントロンを含まない単一エキソンから成っていることであり、ゲノム中でクラスターをなして存在するが、既存のエキソン予測プログラムではほとんど正確に予測されず、また毛根細胞のcDNAの塩基配列も解析されていないことから、発見が困難であった。さらに霊長類におけるKAP遺伝子クラスターとの比較を行うために、チンパンジーおよびヒヒの塩基配列を決定し、この遺伝子クラスターの進化の過程を明らかにした。同様に21q22.11領域の遺伝子低密度領域においても、これまで遺伝子が報告されていなかった約900kbの広範な領域にわたって、高グリシン・チロシン型の50個のKAP遺伝子(内18個は偽遺伝子)から成るクラスターを発見した。現在までの我々や他のグループからの報告を合わせると、21番染色体に存在する遺伝子数は、300を越えている(この内48個が、KAP遺伝子)。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shibuya, K.: "A cluster of 21 keratin-associated protein (KAP) genes within introns of another gene on human chromosome 21q22.3."Genomics. (in press). (2004)
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[Publications] Shibuya, K.: "Comparative genomics of the keratin-associated protein (KAP) gene clusters in human, chimpanzee and baboon."Mammalian Genome. (in press). (2004)