2003 Fiscal Year Annual Research Report
運動生成・認知メカニズムにおける時間・空間制約に関する研究
Project/Area Number |
15016046
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
和田 安弘 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (70293248)
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Keywords | インピーダンス / 運動精度 / スティフネス / 等時性 / 時間平均近似運動指令 / 経由点 / 滑らかさ |
Research Abstract |
(1)運動中のヒト腕のインピーダンスとタスクのパフォーマンスとの関係を明らかにした.被験者に単関節二点間平面運動を行ってもらい,その運動軌道と表面筋電信号(EMG)を測定した.EMGからスティフネスを計算し,運動精度との関係を調べた.その結果,運動終端での精度を要求したとき,スティフネスが上昇する傾向が見られた.また,スティフネスを変化させたとき,EMG,トルク,軌道のばらつきは増加したが,終端位置のばらつきは増加傾向を示さなかった.また,スティフネスとEMGのばらつきとの相関は高いが,トルク,軌道のばらつきとの相関は低く,終端精度に関しては相関はほとんどないか,弱い負の相関となった.スティフネスとともに増加する軌道のばらつきは,運動指令の増加に依存して神経信号ノイズが増加したことを示すと考えられる.その中で終端位置の誤差が増加せず,むしろ負の相関が得られたことは,スティフネスの増加がノイズの終端精度への影響を抑えていることを示し,運動指令から軌道へ変換される過程において徐々に影響がなくなっていくことを示唆している. (2)等時性に関してダイナミクスを内在した運動計画の計算理論からの説明を実験的に試みた.我々は,順序的運動を経由点によってセグメントしたときに,セグメント間の近似運動指令の滑らかさの時間平均が等しくなるように,セグメントの運動時間を決定すると,運動時間をあらかじめ制約することなしに,運動指令を滑らかにするような軌道が生成されることを明らかにしている.本研究では被験者実験において,大小異なる大きさの2つの円から構成される8の字を生成する運動を解析した.結果,大小の円を生成する際の時間平均近似運動指令の滑らかさの方が,単なる運動時間の比よりも1に近くなる傾向が確認され,ヒト軌道生成における時間平均近似運動指令の滑らかさの考慮が示唆された.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 宇賀田正臣, 黒田朋枝, 今水寛, 吉岡利福, 和田安弘, 川人光男: "効果器間協調における順モデル使用の可能性---ヒトの把持力負荷力結合モデルの仮説の検討---"電子情報通信学会論文誌. J86-D-II(5). 715-726 (2003)
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[Publications] 川端康宏, 大須理英子, 和田安弘, 川人光男: "速度依存力場と位置依存力場に対する内部モデルの独立性--多重内部モデルの検証--"電子情報通信学会論文誌. J86-D-II(5). 727-736 (2003)
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[Publications] S.Tsunoda, A.Matsui, Y.Wada, T.Aiba, C.Nagai, Y.Uchiyama, M.Iwata, S.Tanaka, M.Kozawa, M.Kamiyama, K.Fukuzawa: "A computational approach to arm movement on the sagittal plane performed by parietal lobe damaged patients : An attempt to examine a computational model for handwriting for its neurobiological plausibility from a neuropsychological symptom"Neurocomputing. 52. 655-660 (2003)
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[Publications] Y.Wada, Y.Kawabata, S.Kotosaka, K.Yamamoto, S.Kitazawa, M.Kawato: "Acquisition of Multiple Internal Models and Context Switching under Multiple Viscous Force Fields"Neuroscience Research. 46(3). 319-332 (2003)
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[Publications] Y.Wada, M.Kawato: "A via-point time optimization algorithm for complex sequential trajectory formation"Neural Networks. 17(3). 353-364 (2003)