2003 Fiscal Year Annual Research Report
学習と動機づけの制御における前頭連合野のドーパミンとグルタミン酸の動的相互作用
Project/Area Number |
15016129
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
渡辺 正孝 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 参事研究員 (50092383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 崇 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (30225429)
児玉 亨 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (20195746)
彦坂 雄 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (60129004)
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Keywords | 前頭連合野 / サル / ドーパミン / グルタミン酸 / マイクロダイアリシス / ワーキングメモリー / 報酬 / 神経伝達物質 |
Research Abstract |
大脳前頭連合野はワーキングメモリー課題の学習、遂行に重要な役割を果たしている。この課題の遂行にはいろいろな神経伝達物質が関わっている。我々の以前の研究(1997,2002)では、ワーキングメモリー課題と感覚誘導性課題をサルに行わせながら、前頭連合野における脳内物質(ドーパミンとグルタミン酸)の変化を調べた。その結果、ワーキングメモリー課題に関係してドーパミン濃度の増加が見られるがグルタミン酸濃度に変化は見られないこと、一方感覚誘導性課題に関係してグルタミン酸濃度が増加することを明らかにした。我々はまた,好みの報酬を与える条件では、好みでない報酬を与える条件と比較すると、ワーキングメモリー課題における反応速度が速くなることを明らかにした(2001)。 (1)そこで、好みでない報酬(J1)と好みの報酬(J2)を用いて、「ワーキングメモリー課題遂行に伴って報酬を与える(A)条件」と「課題を遂行しないが報酬を与える(P)条件」で、マイクロダイアリシス法を用いて前頭連合野のいろいろな部位においてドーパミンとグルタミン酸の濃度を調べた。 (2)その結果、(P)条件に比べ(A)条件下では、(1)ドーパミン濃度はJ1あるいはJ2条件下ともに増加していたが、統計的に有意差は見られなかった。(2)グルタミン酸濃度はJ1とJ2条件下では一定した変化は見られなかった。(3)前頭連合野内のどの部位においても,ドーパミン濃度が変化するとグルタミン酸濃度は変化せず,グルタミン酸濃度が変化するとドーパミン濃度は変化しない,という相互抑制関係が見られた。 (3)以上の結果、報酬の違いに関連する前頭連合野内の神経伝達物質の濃度変化は、ワーキングメモリー課題の遂行の有無というよりは、むしろ動物の他の行動パラメータ(正答率など)との関連が示唆される。現在これらの点についてさらに解析を進めている。
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