2003 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア・アピコプラストのレドックス蛋白質群の探索と機能の解明
Project/Area Number |
15019055
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長谷 俊治 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (00127276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗栖 源嗣 大阪大学, たんぱく質研究所, 助手 (90294131)
有賀 洋子 大阪大学, たんぱく質研究所, 助手 (60255429)
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Keywords | マラリア原虫 / フェレドキシン / フェレドキシン還元酵素 / 酸化還元電位 |
Research Abstract |
1)マラリアFdの酸化還元電位を測定した。このFdは-220mV程度であり植物Fdの電位(-420〜-350mV)に比べ非常に高く、-340mVの電位をもつNADPHからの電子移動が熱力学的に起こりやすいことがわかった。また、結晶構造を基に、[2Fe-2S]クラスター近傍の部位特異的改変体を作製に、電位を規定している構造要因の解析を行った。 2)マラリアゲノムに存在するFNR遺伝子を化学合成し、大腸菌発現系で組換え酵素として精製する方法を確立し、抗体も作製した。マラリアFdとの酵素反応と複合体形成を速度論的解析やアフィニティー樹脂との結合実験から、マラリアFdとFNRの相互作用の詳細を明らかにした。 3)このマラリアFdとFNRは、電子伝達複合体を形成してNADPHからの電子を種々の化合物に伝達する機能をもつ。この複合体から効率良く電子を受容し、しかもラジカル種のような細胞毒性を発揮できる薬剤をin vivoアッセイ系でスクリーニングした。この薬剤の効果を熱帯熱マラリア原虫のヒト赤血球の培養系を用いて評価した所、上記アッセイ系での結果とよく対応した。これらの薬剤を用いて、大阪大学微生物病研究所の堀井教授との共同でマウスを用いた個体実験を行っている。 4)マラリア原虫のゲノム情報を精査すると、植物のヘムオキシゲナーゼと相同な読み粋が存在することが判明した。シアノバクテリア由来のヘムオキシゲナーゼを比較解析のために調製し、NADPH/FNR/Fdに依存したin vitro活性の測定系を作製した。マラリアヘムオキシゲナーゼについては、遺伝子全化学合成による大腸組換え蛋白質の発現を試み部分精製している。上記のFdレドックスカスケードに依存した活性を検出できる段階に至っている。
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