2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15021201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
池田 証壽 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (20176093)
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Keywords | 国語学 / 言語学 / 中国語 / 国文学 / 玉篇 |
Research Abstract |
写本から版本への移行過程に生ずる問題を、中国・日本撰述の漢字字書の字体規範に着目して考察するため、写本の字書は、『原本玉篇』(中国、梁・顧野王撰)とその節略本である『篆隷万象名義』(日本、空海撰)を、版本の字書は『大広益会玉篇』(中国・宋・陳彰年等撰)を取り上げて、これらの掲出字情報を対照したデータベースを構築した。これによって写本と版本との間に存する漢字字体規範の差を把握するのが目的であるが、今年度は、データベース構築の実際的な問題について検討した。 現在、Unicodeに代表されるように、文字コードの拡張は一段と進んでいる。また、「今昔文字鏡」も登録の文字を拡大し、従来よりもはるかに、多漢字文献の情報処理は容易になった。 『篆隷万象名義』の掲出字16,901字について、Unicode(基本多言語面)と照合してみると、16,901字のうち、11,252字が処理可能であることが分かった。これは全体の3分の2に相当する。次いで「今昔文字鏡」の登録漢字と照合してみたが、46字の未登録字があった。 『篆隷万象名義』と『大広益会玉篇』との照合も終了した。『大広益会玉篇』の掲出字は22,804字であり、このうち5,782字が『篆隷万象名義』に掲出がないことが確認できた。『大広益会玉篇』の掲出字のうち、「今昔文字鏡」に未登録なのは36字であった。 今後は、Unicodeの拡張文字と照合するとともに、『原本玉篇』、『篆隷万象名義』、『大広益会玉篇』の掲出字を画像として取り込み、三者の字体規範の相違を明らかにしたい。今年度は画像データベースの仕様を策定したところである。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 池田証壽: "篆隷万象名義データベースの改定"漢字文献情報処理研究. 4号. 4-11 (2003)
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[Publications] 池田証壽, 高田智和: "漢字字体規範研究から見た国語国字問題関係資料の再検討--「漢字御廃止之議」と「三千字字引」とを例に--"日本学報. 第57輯1巻. 261-272 (2003)
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[Publications] 石塚晴通(佐竹昭廣等と共著): "岩崎本貴重書書誌解題IV-古写本・古刊本之部補遺-"(財)東洋文庫. 110 (2004)