2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15021217
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
鶴成 久章 福岡教育大学, 教育学部, 助教授 (20294845)
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Keywords | 明代 / 出版 / 科挙 / 読書 / 試験勉強 |
Research Abstract |
明代科挙における第一段階の試験である郷試と第二段階の会試それぞれの第一場で出題された「四書義」「五経義」の受験のために、受験生にはどのような学習が必要となったのか、また、それに伴ってどのような書物が出版され、利用されたのかという点を中心に考察した。 主な方法としては、明代士大夫の年譜をはじめとする伝記資料に記載された科挙試験の受験勉強に関わる読書の記録を調査することで、「四書義」「五経義」対策のためにどのような書物が読まれていたのかという点について考察を行った。そして、それと並行して、「四書」「五経」関連の著作の出版状況を調査し、それぞれの文献が明代科挙の「四書義」「五経義」の試験勉強にどう役立てるために作成されたものであるかという点についても考察を行った。前者については、特に、明代の科挙においてとりわけ重視された朱子学的教養を養成するための読書カリキュラムとして知られる元・程端礼撰『程氏家塾読書分年日程』が、明代の科挙試験の受験教育の場において一体どの程度の影響力を有して利用されたのかという点を手がかりに、明代士大夫の儒教的教養の形成過程における本音と建て前の実態について考察した。また、後者については、嘉靖年間から万暦年間以降に出版物の数が飛躍的に増大していった状況において、中でもいわゆる「八股文」の模範答案集が大量に出回るようになった状況下にあって、士人達の読書の傾向がどのように変わったのかという点について考察した。
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