2003 Fiscal Year Annual Research Report
姉妹染色体早期分離と異数性モザイクを特徴とする高発癌性遺伝病の原因遺伝子の解明
Project/Area Number |
15023241
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松浦 伸也 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (90274133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 美紀 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助手 (80335687)
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Keywords | 染色分体早期解離症候群 / M期紡錘体チェックポイント / 異数性モザイク / キネトコア / BubR1 / p55cdc / 高発癌性遺伝病 / Wilms腫瘍 |
Research Abstract |
染色分体早期解誰症候群(PCS syndrome)は我が国で発見された染色体不安定症候群で、ヒトにおける初めてのM期紡錘体形成チェックポイント欠損症である。患者由来の細胞は、染色体分析で姉妹染色分体が高頻度に解離したpremature chromatid separation(PCS)と多彩な異数性モザイクを示す。我々はPCS症候群の紡錘体形成チェックポイント異常のメカニズムを解明することを目的に、種々のキネトコア蛋白および紡錘体チェックポイント蛋白の発現と細胞内局在をウエスタンブロット法および免疫染色法で詳細に解析した。これまでに以下の諸点を明らかにした。 1.3例のPCS症候群患者の不死化細胞株を樹立した。患者細胞はいずれもBubR1およびp55cdc蛋白のキネトコアへの集積がほぼ消失していることを見いだした。 2.BubR1遺伝子の存在するヒト15番染色体をPCS患者細胞へ導入すると、BubR1・p55cdcのキネトコアシグナルが正常化するとともに、M期紡錘体形成チェックポイントも正常化することが確認された。 3.PCS患者細胞ではBubR1に遺伝子変異は認めないが、BubR1からp55cdcへのM期紡錘体チェックポイントの最終経路に機能異常があり、この経路に関わる未知の因子が欠損している可能性が考えられた。 本年度の研究により、PCS症候群はBubR1からp55cdcへのM期紡錘体チェックポイントの最終経路に機能異常があることが明らかとなった。この経路に関わる未知の因子が欠損している可能性が強く示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hama, S.: "p16 Gene transfer increases cell killing with abnormal nucleation after ionising radiation in glioma cells."Br.J.Cancer. 89. 1802-1811 (2003)
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[Publications] Matsuura, S.: "Nijmegen breakage syndrome and DNA double strand break repair by NBS1 complex."Advances in Biophys.. (in press).