2003 Fiscal Year Annual Research Report
AML1/RUNX1遺伝子の微細変異による造血器腫瘍発症メカニズムの検討
Project/Area Number |
15024256
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
奥田 司 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (30291587)
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Keywords | AML1 / 白血病 / RUNX / 胸腺 / 骨髄異形成症候群 / T細胞 / 造血 / 遺伝子改変マウス |
Research Abstract |
造血関連転写因子をコードするAML1/RUNX1遺伝子は、ヒト白血病において高頻度に遺伝子変異の標的となることが知られている。そして、AML1を欠損するマウスは成体型造血の欠如によって胎生中期に死亡する。すなわちAML1は造血初期発生に必須の役割を担っているのである。研究代表者はこれまでの研究によって、野生型AML1遺伝子をノックイン法によってAML1欠損マウスに再導入すると、胎生致死を回避し、マウス個体としてほぼ正常に成育することを見出している。ここで野生型AML1のかわりに変異AML1遺伝子を導入すると、AML1の個体における生物作用と遺伝子構造との関連を系統的に明らかにすることができる。研究代表者はこのマウス作成実験系を駆使することによってAML1の機能解析を行い、本年度は以下の諸点を明らかにした。 1)AML1による造血初期発生制御作用には、そのC末端に位置する転写抑制性ドメインは必須とならない。 2)しかし、遺伝学的によく保存されたこのドメインは、胸腺細胞の初期発生やCD4発現制御において重要な役割を担っている。 3)AML1のファミリー遺伝子であるAML2/RUNX3やAML3/CBFA1のC末端ドメインは、造血初期発生におけるAML1の当該ドメインによる生物作用を代替できることを、個体のレベルで明らかにした。 4)急性白血病におけるAML1遺伝子の点突然変異のホットスポットであるR139、R174あるいはR177の変異を導入した遺伝子改変マウスを作成した。今後、これらの遺伝子改変マウスをさらに検討することによって、AML1機能の詳細や、その変異による白血病発症メカニズムの解明に貢献してゆきたい。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Nishimura, M.: "VWRPY motif-dependent and -independent roles of AML1/Runx1 transcription factor in murine hematopoietic development"Blood. 103・2. 562-570 (2004)
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[Publications] Nakao, M.: "Novel loss-of-function mutations of the haematopoiesis-related transcription factor, AML1/RUNX1, detected in acute myeloblastic leukemia and myelodysplastic syndrome"British Journal of Haematology. (印刷中). (2004)