2003 Fiscal Year Annual Research Report
性ホルモン依存性がんにおける新規がん治療・診断の分子標的同定とその応用
Project/Area Number |
15025216
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 聡 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40251251)
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Keywords | 乳がん / エストロゲン / アデノウィルスベクター / タンパク分解 / エストロゲン受容体 / 前立腺がん / 予後予測因子 |
Research Abstract |
本研究は、ホルモン依存性がんの発がん、増殖の分子機構の解明とその診断・治療への臨床応用をめざし、1)ホルモン依存性がんにおける性ホルモンの下流に存在する標的因子群の性状を分子レベルで解明し、2)遺伝子改変動物とがんへの遺伝子導入を用いてin vivoでの解析によりそのがんにおける役割を明らかにし、3)それらを分子標的として遺伝子治療、分子標的薬、早期診断への応用を計ることを目的とする。本研究で、性ホルモン標的因子を申請者が考案したgenomic binding-site cloning(GBS)法とDNAチップを応用し複数同定した。それら性ホルモン標的遺伝子の機能解析として、特にRINGフィンガーをもつEfpと一回膜貫通蛋白であるEBAG9に注目した。乳がん細胞株のうちER陽性のMCF7とER陰性のMDAMB-231細胞をヌードマウスに埋め込み皮下に腫瘍形成が誘導される際に、同時にEfpのドミナントネガティブ体を遺伝子治療のモデルとしてアデノウイルスの系で導入することで腫瘍形成が抑制されることを示した。このことはEfPを過剰発現した乳がんではホルモン依存性が消失している場合でも、Efpを分子標的にして治療できることを、示唆している。一方、EBAG9に関しては、前立腺がんの予後不良の新しい予測因子であることを明らかにした。 以上より、より難治性の高いER陰性乳がんにおいても、Efpが重要な役割を演じ、新しいがん治療の分子標的となりうることを示した。さらにホルモン依存性がんの新しい分子標的に対し、より実用性が高いと考えられるアデノウイルスベクターによる遺伝子治療モデルを実証し、創薬と遺伝子治療への応用が期待された。もう一つのホルモン依存性がんの分子標的であるEBAG9に関しては、前立腺がんの予後不良予測因子として、新しい診断法への応用を示した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Takahashi S, Urano T, lnoue S et al.: "EBAG9/RCAS1 expression and its prognostic significance in prostatic cancer."Int.J.Cancer. 106. 310-315 (2003)
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[Publications] Tsurusaki T, Inoue S, Koji T et al.: "Zone-dependent expression of estrogen receptor alpha and beta in human benign prostatic hyperplasia."J.Clin.Endocrinol.Metab.. 88. 1333-1340 (2003)
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[Publications] Aoki T, Inoue S, Makuuchi M et al.: "EBAG9/RCAS1 expression in hepatocellular carcinoma: Correlation with tumour dedifferentiation and proliferation."Eur.J.Cancer. 39. 1552-1561 (2003)
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[Publications] Horie K, Urano T, Inoue S: "Efp as a new molecular target for breast cancer therapy."Anticancer Drugs. 14. 1-2 (2003)
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[Publications] Horie K, Urano T, Ikeda K, Inoue S: "Estrogen-responsive RING finger protein controls breast cancer growth."J.Steroid Biochem.Mol.Biol.. 85. 101-104 (2004)
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[Publications] Ikeda K, Ogawa S, Inoue S et al.: "Protein phosphatase 5 is a negative regulator of estrogen receptor-mediated transcription."Mol.Endocrinol.. (in press). (2004)
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[Publications] Ikeda K, Inoue S, Muramatsu M: "Zinc finger proteins : from atomic contact to cellular function"Landes Bioscience(in press). (2004)