2003 Fiscal Year Annual Research Report
青枯病菌のタイプIII分泌系を介した植物内増殖機構の解明
Project/Area Number |
15028218
|
Research Institution | Research Institute for Biological Science Okayama |
Principal Investigator |
向原 隆文 岡山県生物科学総合研究所, 遺伝子機能解析研究室, 室長 (80344406)
|
Keywords | Ralstonia solanacearum / Hrp / タイプIII分泌系 / leucine-rich repeat / F-box protein / 病原性 / 分子遺伝学 / 青枯病 |
Research Abstract |
青枯病菌Ralstonia solanacearumのHrp type III分泌系に依存した宿主植物内増殖メカニズムを解明するために、R.solanacearumのhrpレギュロンに属する遺伝子を網羅的に単離・同定することに成功した。これらの遺伝子の解析から、新しく30のR.solanacearumの病原性関連遺伝子(hpx)を見出した。うち7つは動物や植物のタイプIII分泌系の病原性因子ホモログを、4つは既知タンパク質ホモログを、さらに、6つは真核型のロイシンリッチリピート(LRR)タンパク質をコードしていた。それには既知タンパク質と相同性は認められなかった。 R.solanacearumのLRRタンパク質(Lrp)は、構造とLRRモチーフの違いからtype Iとtype IIの2つに分けられる。それぞれの機能を明らかにした。Type I Lrpには、真核細胞のユビキチン/プロテアソーム系で働くSCFユビキチンリガーゼ複合体サブユニットSKP1の結合モチーフであるF-boy配列が共通に保存されており、実際に植物SKP1ホモログと相互作用することを確認した。さらに、Hrp高発現株の作出に成功し、Type I LrpがHrpから菌体外に分泌されるタイプIIIエフェクターであることを証明した。Type I Lrpは、Hrpを通じてR.solanacearumから宿主植物の細胞内に注入された後、F-boxタンパク質として宿主のSCFユビキチンリガーゼと複合体を形成し、LRRでトラップした宿主タンパク質をユビキチン依存的な分解系に導くことで病原性を発揮する新しい型の病原性因子と推察される。一方、type II LrpのLrpEには病原菌の増殖過程で生じるHrp繊毛による凝集から菌体を解離させる機能があり、本菌が植物体内を効率良く移行するために必要とされることを明らかにした。これは、植物病原細菌のHrp繊毛が病原性因子の注入のみならずバイオフィルム形成にも必要とされることを示す知見である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 向原隆文: "植物病原細菌の病原性制御と耐病性強化の展望"植物感染生理談話会論文集. 39. 41-49 (2003)
-
[Publications] Ichinose, Y.: "Need for flagella for complete virulence of Pseudomonas syringae pv.tabaci : genetic analysis with flagella-defective mutants ΔfliC and ΔfliD in host tobacco plants."Journal of General Plant Pathology. 69. 244-249 (2003)
-
[Publications] Shimizu, R.: "The ΔfliD mutant of Pseudomonas syringae pv. tabaci, which secretes flagellin monomers, induces a strong hypersensitive reaction (HR) in non-host tomato cells"Molecular Genetics and Genomics. 269. 21-30 (2003)