2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15029215
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
田中 光一 東京医科歯科大学, 大学院・疾患生命科学研究部, 教授 (80171750)
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Keywords | 神経科学 / 脳神経 / 発生・分化 / グルタミン酸 / 欠損マウス / 網膜 |
Research Abstract |
哺乳類の中枢神経系において、グルタミン酸は主要な興奮性神経伝達物質であり、記憶・学習などの脳高次機能に重要な役割を果たしている。グルタミン酸は、グルタミン酸受容体を介してその作用を発揮するが、神経細胞だけでなくグリア細胞にもグルタミン酸受容体が存在することが知られている。しかし、グリア細胞に存在するグルタミン酸受容体の機能的役割は、不明な点が多い。本研究では、グルタミン酸受容体のサブタイプの中で、神経回路網の形成、シナプス伝達の可塑性、神経細胞死などに深く関与することが知られているNMDA受容体に焦点をあて、グリア細胞に存在するNMDA受容体(網膜のミューラー細胞、小脳のバーグマングリア細胞、大脳皮質アストロサイトに存在)の機能的役割を、グリア細胞特異的にNMDA受容体を欠損させたマウスを作成し、解明する。今年度は、網膜に焦点を絞り、網膜ミューラー細胞特異的にNMDA受容体NMDAR1を欠損マウスさせたマウスを作成し、網膜の発達、網膜神経細胞死に対するグリア細胞に存在するNMDA受容体の機能を解析した。現在までにグリア細胞からの領域特異的なNMDAR1の消失と、正常な網膜の発達、虚血障害に対する脆弱性を確認している。したがってグリア細胞に発現するNMDA受容体は、網膜の発達には大きな役割を果たしていないが、神経変性時には神経細胞保護的にはたく。これはNMDA受容体の活性化によりCREBがリン酸化され、神経栄養因子であるNT3の転写を促進し、ミューラー細胞から放出されたNT3が神経節細胞に対し保護的に作用することによることを明らかにした。また、網膜電位図の解析から、ミューラー細胞に存在するNMDA受容体は視細胞-双極細胞間のシナ伝達にとって重要な役割を果たすことがわかった。
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Research Products
(6 results)