2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15029222
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高木 新 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90171420)
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Keywords | C.elegans / プレキシン / セマフォリン / 下流シグナル / 表皮形態形成 |
Research Abstract |
Sema3Aに代表されるセマフォリンファミリー蛋白質は、軸索成長円錐崩壊活性を持つ軸索伸長の反撥因子として、脊椎動物やショウジョウバエの神経回路形成に重要な役割を果たす。膜蛋白質のプレキシンはセマフォリンの主要な受容体であり、プレキシンから成長円錐の崩壊に至る分子機構の解明が、現在、セマフォリン研究における一つの焦点となっている。 プレキシンの細胞内領域はC.elegans-脊椎動物間でよく保存されており、下流のシグナル伝達機構も保存されていることが期待される。私達はプレキシン下流シグナル伝達機構解明のために、線虫C.elegansを用いた遺伝学的アプローチを試みている。C.elegansプレキシンAであるPLX-1をコードするpls-1遺伝子の欠失変異体では雄尾部感覚器ray1の位置が前方へ移動する。ray1前方化が90%以上という高い浸透度を示すことを利用して、この表現型を抑圧する変異体の検索を行い、これまでに6個のサプレッサーを単離した。このうちnc40変異は約8割の個体でplx-1変異のray1表現型を抑圧するが、nc40変異体ではray1の位置に異常はない。マッピングの結果、nc40は出芽酵母のGCN1と相同性を示す遺伝子の変異であることが明らかになった。酵母ではGCN1は蛋白質翻訳を抑制することが知られており、変異nc40は逆に蛋白質翻訳の亢進を引き起こすと予想される。一方、eIF-2αに対するRNAiによってray1形成期に蛋白質翻訳を抑制すると、plx-1変異と同様のray1前方化が引き起こされた。以上のことから、PLX-1が蛋白質翻訳の活性化を介してray1の位置を制御する可能性が示された。
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