2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15029240
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山口 瞬 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (70304087)
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Keywords | 遺伝子発現 / トランスジェニックマウス / 体内時計 / 発行 |
Research Abstract |
記憶、学習、情動、概日リズムなどの脳の高次機能においては、神経細胞における遺伝子発現が重要な役割を果たしている。本研究では、種々の脳機能と関連して発現するc-fos遺伝子のプロモーターなどと蛍の発光遺伝子ルシフェラーゼをつないだトランスジェニックマウスを作成し、発光による遺伝子発現のリアルタイム・モニタリングを目指した。約7.8kbのc-fosプロモーターにルシフェラーゼをつなぎトランスジェニックマウスを作成した。本来のc-fos mRNAは、夜間マウスに光照射して、体内時計の位相を変化させた時に、視交叉上核(体内時計の中枢)で誘導されるが、このトランスジェニックマウスにおいても光照射でルシフェラーゼmRNAが視交叉上核で誘導されることを確認する予定である。また、体内時計が約24時間周期のリズムを作り出すメカニズムの中核は、時計遺伝子と呼ばれる一群の遺伝子であるが、時計遺伝子mPer1のプロモーターにルシフェラーゼをつないだトランスジェニックマウスを作成し、遺伝子発現のリアルタイム・モニタリングを行った。このトランスジェニックマウスの視交叉上核では、本来のmPe1 mRNAと同じく約24時間周期でルシフェラーゼmRNAが増減を繰り返し、基質のルシフェリンを投与すると発光の強弱のリズムが見られた。このマウスの視交叉上核だけを切り出し、Milli Cellメンブレン上で培養し、超高感度のCCDカメラと組み合わせることで、視交叉上核の単一神経細胞レベルでの遺伝子発現のリアルタイム・モニタリングに成功した。この手法によって、視交叉上核の個々の神経細胞が同調するのは、活動電位依存的であること、さらに個々の神経細胞内で時計遺伝子が増減の振幅を保つのにも活動電位が必須であることを明らかにした。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Terazono H.et al.: "Adrenergic regulation of clock gene expression in the mouse liver."Proc Natl Acad Sci USA.. 100(11). 6795-6800 (2003)
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[Publications] Sujino M.et al.: "Suprachiasmatic nucleus grafts restore circadian behavioral rhythms of genetically arrhythmic mice."Curr Biol.. 13(8). 664-668 (2003)
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[Publications] Nomura K.et al.: "Involvement of calcium/calmodulin-dependent protein kinase II in the induction of mPer1."J Neurosci Res.. 72(3). 384-392 (2003)
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[Publications] Matsuo T.et al.: "Control mechanism of the circadian clock for timing of cell, division in vivo."Science. 302. 255-259 (2003)
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[Publications] Yamaguchi S.et al.: "Synchronization of cellular clocks in the suprachiasmatic nucleus."Science. 302. 1408-1412 (2003)