2004 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質-視床投射シナプスの可塑性と分子機構の研究
Project/Area Number |
15029254
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
宮田 麻理子 生理学研究所, 生体情報研究, 助教授 (70281631)
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Keywords | 視床 / 皮質視床路 / カイニン酸受容体 / 内側毛帯 |
Research Abstract |
平成13年から14年までの研究で痛覚情報処理に皮質視床シナプスが関わっていることを明らかにした。感覚情報は末梢から情報は内側毛帯シナプスを介してVB核投射細胞に入力し、大脳皮質体性感覚野に投射される。一方、皮質からは大量のフィードバックシナプス(皮質視床シナプス)が入力している。それぞれは精巧なトポロジーを持っているため、これら二つの入力は体性感覚情報処理の機能的単位と考えられている。従来より、感覚情報は内側毛帯シナプスの入力が皮質視床シナプス入力と連合して視床投射細胞の神経活動を調節することにより、感覚情報処理をしていると考えられてきた。この際、重要になるのが、皮質視床路、内側毛帯の時間的なcodingの特性である。しかしながら、これら二つのシナプスの時間的伝達特性はほとんど明らかになっておらず、また、二つの入力による時間的はspike応答特性についても明らかになっていない。研究代表者は視床VB核投射神経細胞のシナプス解析に着手し、視床水平断標本において、内側毛帯シナプスと皮質視床シナプスのEPSCsを同一のVB投射細胞から記録する方法を確立した。マウスVPL核投射細胞において、皮質視床シナプスのEPSCsに、NMDA受容体成分がnon-NMDA成分より多く、AMPA受容体に加えてカイニン酸受容体成分が存在することを見出した。一方、末梢からの感覚情報を受ける内側毛帯シナプスEPSCは、NMDA受容体成分はAMPA受容体成分より少なく、カイニン酸受容体成分は存在しなかった。カイニン酸受容体は、AMPA受容体に比べてdecay time constantが遅いため、高頻度のシナプス入力で内向き電流は加算され、非常に大きな興奮性を標的細胞に与えると考えられる。現在、これら二つのシナプスの構成成分の違いが、視床投射細胞の時間的発火特性にどのように関わっているのかを調べている。一部の成果は、北米神経科学会等に発表し、現在論文にまとめているところである。今後は、皮質視床シナプスのカイニン酸受容体によるシナプス入力のゲインコントロールの研究を進める予定である。
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Research Products
(3 results)