2004 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質特異的遺伝子欠損システムを用いたバレル形成分子機構の研究
Project/Area Number |
15029261
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岩里 琢治 独立行政法人理化学研究所, 行動遺伝学技術開発チーム, 副チームリーダー (00311332)
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Keywords | 神経科学 / マウス / 体性感覚系 / ノックアウト / 遺伝子 / Cre / loxP / 発生工学 / 可塑性 |
Research Abstract |
マウス体性感覚野第4層には、バレルとよばれる特殊な、組織学的構造が存在するが、その形成は活動依存的回路発達のモデルとして注目されてきた。しかし、その分子レベルの機構は、方法論的な不備のため、ほとんど未解明である。本研究では、私達が開発した大脳皮質特異的遺伝子欠損システムを用いて、バレル形成の分子機構を明らかにすることを目標としてきた。本研究では、アデニル酸シクラーゼ1の遺伝子を2個のloxPで挟んだ構造のゲノムをもつfloxマウスを作製した。まず、Cre組換え酵素を受精卵で発現されることにより、全身の全細胞で遺伝子を欠損させたところ、マウスは正常に育ち、子孫を残すことができた。しかし、バレルは形成されず、視床のバレロイドにも一部異常が見られた。次いで、floxマウスと、先に開発したEmx1-Creマウスを交配することにより、大脳皮質の興奮性神経細胞特異的にアデニル酸シクラーゼ1をノックアウトした。このマウスは正常に成体まで育った。また、その脳ではバレル、バレロイドとも正常に形成されていた。さらに、大脳皮質興奮性神経細胞とともに視床VB核の一部の細胞でノックアウトの起きている系統を作製し、その解析をおこなった。その結果、バレロイドは正常であるが、バレルには部分的な異常がみられた。これらの結果を総合すると、バレル形成には大脳皮質興奮性神経細胞のアデニル酸シクラーゼ1は必要ないことが示される。また、視床-皮質軸索終末のアデニル酸シクラーゼ1がバレル形成に重要な働きをすることが示唆される。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Dorsal Telencephalon-Specific Expression of Cre Recombinase in PAC Transgenic Mice2004
Author(s)
Iwasato, T., Nomura, R., Ando, R., Ikeda, T., Tanaka, M., Itohara, S.
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Journal Title
Genesis 38
Pages: 130-138
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[Journal Article] BMP Receptor Signaling is Necessary for Hair Follicle Cycling and Hair Shaft Differentiation in Mice.2004
Author(s)
Yuhki, M., Yamada, M., Kawano, M., Iwasato, T., Itohara, S., Yoshida, H., 他2名
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Journal Title
Development 131
Pages: 1825-1833
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