2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15030211
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 雄一郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (60183125)
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Keywords | RNAポリメラーゼ / Dicer / argonaute / 植物ウイルス / RNA移行 / microRNA |
Research Abstract |
○本特定の平成14年度の補助によって、選抜できたRNAをめぐる情報制御系に関わると思われる遺伝子について、そのシロイヌナズナにおけるT-DNAによる遺伝子タグライン(機能破壊株)が数多くスクリーニングできた。本年度も継続して、そのタグラインの種類を増やした。 ○RNA dependent RNA polymerase(RDP)遺伝子の機能解析 シロイヌナズナのrdp1,rdp2,rdp3,rdp4,rdp5,rdp6(sde1)変異体をもちいて、個々の遺伝子の発現の様子、変異体における個体発生の状態、TMVなどのウイルス感染に対する抵抗性、示すPTGSの度合い、siRNA,miRNAの合成の増減について検討を加えた。その結果、1.rdp6,rdp2が野生型と異なるPTGSの様子を示した:それぞれ低下、増進が見られた。 2.virus感染に対してrdp1,rdp3,rdp6変異体は感受性が高まっていることから、それぞれの野生型の遺伝子産物がウイルスの増殖を抑制するのに関わっている可能性が示された。 3.TMV感染後のsiRNAを検出するとrdp1,rdp3で蓄積が減少していることからそれぞれ野生型の遺伝子産物がsiRNAを産出するのに関わっていることが示唆された。 ○ウイルス感染とmicroRNAの関係 TMVなどの植物ウイルスが植物体に感染すると特定のグループのmicroRNAの蓄積が増大することが明らかとなった。この機構を考察する意味で、microRNAの蓄積と、転写からいたる途中の中間体RNAの分子種の解析を行った。ウイルス感染による影響が転写量の増大と、途中のブロセッシングの過程で違いが見いだされた。今回開発したシロイヌナズナでの弱毒ウイルスの感染系を用いると、そうしたmicroRNAの変化は見られない。ウィルス感染による病徴発現がこうした発生制御に関連のあるといわれるmiRNAの蓄積量の変化を介している可能性が示唆された。
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[Publications] Hori, K. et al.: "Construction of a Tabamovirus Vector That Can Systemically Spread and Express Foreign Gene Products in Solanaceous Plants."Plant Biotechnology.. 20. 129-136 (2003)
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[Publications] Kurihara, T. et al.: "Cross-protection in Arabidopsis against crucifer tobamovirus Cg by an attenuated strain of the virus"Molecular Plant Pathology. 4. 259-269 (2003)
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[Publications] Hirashima, K. et al.: "RNA Helicase Domain of Tobamovirus Replicase Executes Cell-to-Cell Movement Possibly through Collaboration with Its Nonconserved Region"Journal of Virology. 77. 12357-12362 (2003)
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[Publications] 渡辺 雄一郎: "ウイルスベクターによる有用遺伝子の発現"化学と生物. 41. 183-189 (2003)
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[Publications] 堀 孝一: "植物での転写後サイレンシング(PTGS)"蛋白質・核酸・酵素. 48. 459-468 (2003)