2003 Fiscal Year Annual Research Report
核内に存在する成熟体tRNAの生理的意義の解析II
Project/Area Number |
15030218
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉久 徹 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 助教授 (60212312)
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Keywords | tRNA / splicing / 核外輸送 / 核内輸送 / 核内翻訳 |
Research Abstract |
本計画では、核内の成熟体プールがどのように形成され、どのような生理的意義を持つかを明らかにする目的で、酵母S.cerevisiaeを材料として以下の解析が進行中である。 ◆異種酵母であるS.pombeのtRNAを発現するS.cerevisiae核融合変異株を構築し、接合過程を利用したヘテロカリオンアッセイによって、S.pombe tRNAを発現する核で転写されて細胞質に輸送された成熟体tRNAが、他方の核に再輸送されるかを検討した。共焦点顕微鏡システムによるFISH観察の結果、S.pombe tRNA遺伝子を発現してない核においても、同tRNAが検出され、細胞質から核へ成熟体tRNAが輸送されていることが明かとなった。 ◆tRNA核外輸送因子であるexportin-5の酵母ホモログMsh5pがtRNAの核外輸送に関与するかについて検討した。Δmsn5単独では、成熟体tRNAの核外輸送、前駆体の修飾に何ら影響を与えなかったが、核外輸送因子Los1Pおよび核内でtRNAの核外輸送に関わるUtp8pとの遺伝的相互作用が明かとなり、Msn5pがtRNAの細胞内動態に関わることがわかった。 ◆tRNA核外輸送因子と機能的に拮抗する因子を検索するため、過剰生産時にΔlos1、Δmsn5二重欠失変異株またはΔlos1、utp8二重変異株が致死となる遺伝子を酵母多コピーライブラリーよりスクリーニングしている。現在、複数の候補クローンを得ており、含まれるORFのうちどれが現遺伝子であるかの特定を行っている。 ◆tRNAの細胞質から核への輸送をin vitroで再現するため、semi-intact細胞系を構築している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Yoshihisa, et al.: "Possibility of Cytoplasmic pre-tRNA Splicing : the Yeast tRNA Splicing Endonuclease Mainly Localizes on the Mitochondria."Mol.Biol.Cell. 14. 3266-3279 (2003)
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[Publications] 遠藤斗志也 他: "ミトコンドリアをめぐるタンパク質フラックス"実験医学(増刊号・「細胞内輸送-研究の最前線」). 21. 1889-1895 (2003)