2003 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス応答性RNaseであるIre1と標的RNAのユニークな動態
Project/Area Number |
15030232
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
木俣 行雄 奈良先端科学技術大学院大学, 遺伝子教育研究センター, 助手 (60263448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
都留 秋雄 奈良先端科学技術大学院大学, 遺伝子教育研究センター, 助手 (80273861)
河野 憲二 奈良先端科学技術大学院大学, 遺伝子教育研究センター, 教授 (50142005)
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Keywords | 分子シャペロン / シャペロン / 小胞体ストレス / ストレス応答 / UPR |
Research Abstract |
真核生物に共通して存在するIrel、C末端にRNaseドメインが存在するという、特異な構造のI型膜蛋白質である。Ire1小胞体ストレスに応じて活性化し、基質となるRNAを切断(もしくはスプライシング)することにより、ストレスに対する生体防御反応を引き起こす。哺乳類には2種類のIre1パラログが存在することが知られており、主として培養細胞レベルのin vivo解析から、機能の差異が示唆されている。Ire1αは、転写因子XBP1のmRNA前駆体をスプライシングにより成熟化させ、高活性型のXBP1蛋白質を生み出すことにより、分子シャペロンなど小胞体ストレスに対抗するための蛋白質がコードされている遺伝子の転写を誘導する。一方、Ire1βはその他に、28SrRNAを切断することにより、蛋白質合成全般を低下させる。そこで疑問だったのは、このIre1αとIre1βの違いが、真にこれら二者のRNaseとしての性質(基質特異性)の差異を反映したものなのか、あるいは、発現量や細胞内局在や相互作用する蛋白質などの影響による二次的なものであるのかということである。本研究で我々は、昆虫細胞を用いた組換え蛋白質発現システムを用い、ヒトIre1αとIre1βそれぞれの、RNaseドメインを含む組換え蛋白質断片を調製した。そしてそれらを用いて、in vitroでのRNA切断実験を行い、in vivoでの解析結果と同じく、Ire1αはXBP1mRNA前駆体を好んで切断し、逆にIre1βは28SrRNAを好んで切断することを示した。すなわち、Ire1αとIre1βとは、それ自身の性質として、すなわちRNaseとしての基質特異性から、異なった機能を持つ蛋白質であることが分かったのである。
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Research Products
(1 results)