2004 Fiscal Year Annual Research Report
二成分系を介したイネ花芽形成信号情報伝達経路の解明
Project/Area Number |
15031226
|
Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
井澤 毅 独立行政法人農業生物資源研究所, 分子遺伝研究グループ, 主任研究官 (10263443)
|
Keywords | 光周性花芽形成 / イネ / 二成分系信号伝達系 / レスポンスレギュレータ / 比較生物学 / 短日植物 / 概日時計 / 光信号伝達 |
Research Abstract |
我々は、新規なイネ花芽形成関連遺伝子Ehd1遺伝子を単離し、二成分系信号伝達系で働くと考えられるBタイプレスポンスレギュレータ(B-RR)をコードしていることを明らかとした(Doi et al.,2004)。イネとシロイヌナズナのゲノム上にあるすべてのB-RRを使い、系統樹を作成したところ、Ehd1はイネに特異的なB-RRで、シロイヌナズナには対応する遺伝子が存在しないことが明らかとなった。 また、Ehd1遺伝子は進化上保存された花芽形成調節キー遺伝子であるHd1が欠損した遺伝背景であるT65でも機能することを証明した。これらのことから、イネにはシロイヌナズナにはない光周性花芽形成経路が存在することが示唆された。さらに、これまでに同定された花芽形成関連遺伝子の発現を解析し、マイクロアレイ解析も行い、Ehd1の下流で働く遺伝子を約20個、同定した。その中には花芽形成に関与すると考えられるFT相同遺伝子が4つ、MIKCタイプのMADSbox遺伝子が3つ、含まれていた。 加えて、機能的なHd1により、短日条件でのEhd1の発現が部分的にではあるが、正に制御され、逆に、長日条件では負に制御されることが明らかとなり、Ehd1遺伝子はHd1の下流に存在し、Hd1以外の経路とHd1経路の両方の信号を受けて発現することが示された。また、フィトクロム系によって、短日、長日共に、発現抑制をうけ、赤色光下ではEhd1が発現しないことや、さらに、イネの開花を促進する能力のある青色光下でEhd1の発現が誘導され、Ehd1を介して、青色光が、花芽形成スイッチ遺伝子であるHd3aを誘導することも明らかにした。
|
Research Products
(6 results)