2004 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質に新たに見出された結び目構造のフォールディング機構の解明
Project/Area Number |
15032209
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
濡木 理 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (10272460)
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Keywords | 生物物理 / 酵素 / フォールディング / X線結晶構造解析 / NMR |
Research Abstract |
タンパク質は、リボソームでポリペプチドとして合成された後、自発的にあるいはシャペロンの力を借りて正しくフォールディングすることにより、機能を獲得する。申請者らは、まずタンパク質合成に必須なtRNAのアミノ酸受容末端である3'CCA末端の合成・修復に働くCCA付加酵素とtRNAプライマーと新たに結合すべきATPの複合体のX線結晶構造解析を行い、CCA付加酵素がいかにDNAの鋳型なくして特定の配列のRNAを重合できるのかを世界にさきがけて解明した(Nature,2004)。さらに、申請者らは、リボソームRNAおよびtRNAのメチル化修飾に携わるSpoUファミリーメチル基転移酵素(それぞれRrmA、TrmH)が、その触媒ドメインに特徴的な結び目(knot)構造を持つこと、そのknot構造は、触媒部位の構築、メチル基供与体(S-アデノシルメチオニン)の結合部位の構築、分子の2量化を介するRNA依存的メチル基転移反応に働いていることを明らかにした(Structue,2004)。これらメチル基転移酵素のknot構造がどのようにフォールディングし形成されるのかを解明するため、TrmHに様々な変異を導入した結果、knotよりC末端側に変異を導入するとknotが巻かなくなることから、C末端側のペプチド部分がループをくぐって結び目ができることがわかった。さらに、TrmHの変性実験を行ったところ、尿素では変性せず、5Mグアニジン塩酸で変性するものの、10ms以内に準安定な状態(約半分の2次構造が復活した状態)になり、そこから約8時間という長い過程を経て、もとのknot構造に巻き戻り、活性も回復することが明らかになった。さらに、TrmHがknotを巻くとN末端ヘリックスとC末端ヘリックスが寄り合うことを利用し、N末端のヘリックス中に存在するArg17をCysに置換し、これをIAEDANCEで標識し、C末端ヘリックス上のTrp191によって励起された結果のFRETを観測する事で、変性状態から巻き戻る過程を経時的に観測した。その結果、経時的にFRETが上昇し、TrmHがknotを巻く過程を視覚化する事に初めて成功した(論文準備中)。
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