2003 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイド線維形成反応の蛋白質立体構造に基づく研究
Project/Area Number |
15032228
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
後藤 祐児 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (40153770)
|
Keywords | 生物物理 / ナノ材料 / 生体分子 / 蛋白質のフォールディング / 老化 / アミロイド線維 / 蛋白質の構造安定化 / 透析アミロイドーシス |
Research Abstract |
アミロイド線維は、プリオン蛋白質、アルツハイマーAβペプチドをはじめ数多くの蛋白質で知られている。アミロイド線維を研究することは蛋白質の構造や物性、機能の理解を深めるために重要である。本研究では、β2ミクログロブリン、アルツハイマーAβペプチドを用いて、アミロイド線稚形成の分子機構を、蛋白質の立体構造に基づいて原子レベルで理解することを目的とした研究を行い、以下の成果を得た。 1.NMR解析:アミロイド線維とそれに類似した構造状態の安定性を、水素/重水素交換反応とジメチルスルフォキシドによる溶解、NMR測定を組み合わせて、残基レベルで解析した。今回用いたのは、剛直なアミロイド線維、フレキシブルなフィラメント状構造、β2ミクログロブリンの部分ペプチドが形成する剛直な線維である。その結果、アミロイド線雑のコアが形成され、それが分子全体に成長してゆく、階層的な構造形成モデルを提唱した。 2.顕微鏡観察:全反射蛍光顕微鏡を用いて、β2ミクログロブリンの線伸長過程を一分子観察した。この方法では、アミロイド線維に特異的な蛍光色素であるチオフラビンTを利用する。チオフラビンTを溶液中に添加することにより、アミロイド線維だけを特異的に観測することができる。これより、β2ミクログロブリンのアミロイド線維がシードより一方向に成長することが明らかとなった。Aβペプチドにおいてもアミロイド線維伸長反応を観測することに成功した。 3.熱力学解析:伸長反応を利用して、滴定型熱量計を用いた熱測定実験を行った。アミロイド線維形成反応における疎水的相互作用の寄与を定量的に見積もることができた。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Fernandez, Ariel: "Structural defects and the diagnosis of amyloidogenic propensity"Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 100. 6446-6451 (2003)
-
[Publications] Gozu, Masayo: "Conformatinal dynamics of β2-microglobulin analyzed by reduction and reoxidation of the disulfide bond."J.Biochem.. 133. 731-736 (2003)
-
[Publications] Fernandez, Ariel: "Protein folding : could hydrophobic collapse be coupled with hydrogenond formation?"FEBS Letters. 536. 187-192 (2003)
-
[Publications] Ban, Tadato: "Direct observation of amyloid fibril growth monitored by thioflavin T fluorescence."J.Biol.Chem.. 278. 16462-16465 (2003)
-
[Publications] Hirota-Nakaoka, Nami: "Dissolution of β_2-microglobulin amyloid fibrils by dimethylsufloxide."J.Biochem.. 134. 159-164 (2003)
-
[Publications] Chiba, Takeshi: "Amyloid fibril formation in the context of full-length protein : Effects of proline mutations on the amyloid fibril formation of β2-microglobulin."J.Biol.Chem.. 278. 47009-47015 (2003)