2004 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウムシグナルによるタンパク質の産生・輸送・分解の制御機構
Project/Area Number |
15032231
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
久野 高義 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50144564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春藤 久人 神戸大学, 医学部, 助教授 (70206259)
杉浦 麗子 近畿大学, 薬学部, 教授 (90294206)
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Keywords | カルシウム / リン酸化 / シグナル伝達 / 細胞内輸送 / RNA代謝 |
Research Abstract |
研究代表者等は、哺乳動物細胞に極めて近い細胞内情報伝達系を持ち、厳密な分子遺伝学的解析が可能な分裂酵母モデル系を用いて、カルシウム依存性脱リン酸化酵素であるカルシニューリンが細胞質分裂等の多様な細胞機能を制御することを明らかにしてきた。この過程で、カルシウムシグナルがタンパク質の分解や輸送系の制御を示唆する多くの結果を得ている。本研究は、分裂酵母モデル系の分子遺伝学的解析を行うことでカルシウムシグナルによるタンパク質の産生・輸送・分解の制御機構を解明し、この制御機構の破綻による細胞病態を明らかにする事を目的とした。 1)細胞内小胞輸送を担うアダプチン遺伝子とカルシニューリンの遺伝学的関連について 高温感受性と免疫抑制薬感受性を同時に示す分裂酵母変異体を単離し,その遺伝子を決定した。その結果,変異遺伝子は,ゴルジ・エンドソームからの小胞輸送を担うことが知られているミュー・アダプチンをコードしていることが明らかになった。また,アダプチン遺伝子ノックアウトでも同様の表現型が認められることも確認した。これらの結果から,細胞内輸送とカルシニューリンとの関連が明らかになった。 2)mRNA制御における安定性制御の重要性について タンパク質産生においては,mRNA量制御がきわめて重要である。これまでは,シグナル伝達系によりmRNA量が制御される場合は,主に転写の制御が考えられていたが,我々は,分裂酵母ではカルシニューリンとマップキナーゼがクロライドイオンホメオスタシスに関して拮抗的関係にあることを利用し,RNA結合タンパク質のリン酸化によるmRNAの安定性制御が重要であることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)