2003 Fiscal Year Annual Research Report
胞子形成時にシンタキシンの劇的な細胞内移動を引き起こさせる分子機構の解明
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15032251
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中村 太郎 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 講師 (30291082)
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Keywords | 分裂酵母 / 胞子形成 / リアルタイム観察 / 前胞子膜 / GFP / シンタキシン / 小胞輸送 |
Research Abstract |
我々は昨年度分裂酵母の前胞子膜形成を生細胞でリアルタイムに観察する系を観察したが、本年度はさらにこの系を発展させ、2つのタンパク質を生細胞で同時に観察する系を導入した。具体的には前胞子膜はマーカータンパク質であるPsy1にGFPのバリアントであるYFPを融合させ、α-チューブリンタンパク質には同じくGFPのバリアントであるCFPを融合させた。これにより減数分裂の進行を詳細にモニターしながらシンタキシンタンパク質Psy1の動きを観察することが可能となった。経時的および統計的な観察の結果、第一減数分裂が終了し、間期に入ってから、Psy1が細胞膜から前胞子膜に移動することがわかった。 Psy1の前胞子膜形成における役割を明らかするため、昨年度取得した胞子形成に欠損が見られるpsy1変異株の詳細な解析をおこなった。変異Psy1タンパク質とGFPを融合させ、細胞内局在を観察したところpsy1-sp2変異タンパク質は第二減数分裂が進行してもそのほとんどが細胞膜に残ったままであった。すなわち、この変異株ではPsy1が前胞子膜へと局在できないために胞子形成が欠損していると考えられる。出芽酵母および哺乳類細胞ではシンタキシンはSNAP-25およびシナプトブレビンと相互作用しているが、分裂酵母のオルソログであるsec9+およびsyb1+を高発現させたところ、sec9+を高発現させたときのみpsy1-sp2の胞子形成欠損は部分的に抑圧された。SNAP-25との相互作用に必要な部分に入っていることと合わせて考えると、psy1-sp2はSec9との相互作用に欠損があるため局在変化ができない可能性が考えられる。Psy1の局在変化は栄養細胞においても胞子形成特異的転写因子Mei4を高発現することにより起こすことができる。また、ノザン解析によりsec9+の発現は胞子形成時にMei4依存的に大幅に誘導された。しかしながら、Sec9を高発現してもPsy1の局在変化は起こせなかった。これらの結果からPsy1の局在変化にはSec9と複合体を作ること、この複合体を認識し、前胞子膜へと局在変化を起こす別のタンパク質Xが存在する可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Sato, M., Kong, CJ., Yoshida, H., Nakamura, T., et al.: "Ribosomal proteins S0 and S21 are involved in the stability of 18S rRNA in fission yeast, Schizosaccharomyces pombe."Biochem.Biophys.Res.Commun. 311. 942-947 (2003)
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[Publications] Yoshida, S., Al-Amodi, H., Nakamura, T., et al.: "The Schizosaccharomyces pombe cdt2^+ gene, a target of G1-S phase-specific transcription factor complex DSC1, is required for mitotic and premeiotic DNA replication."Genetics. 164. 881-893 (2003)
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[Publications] Nakamura-Kubo, M., Nakamura, T., Hirata, A., Shimoda, C: "The fission yeast spo14^+ gene encoding a functional homologue of budding yeast Sec12 is required for the development of forespore membranes."Mol.Biol.Cell. 14. 1109-1124 (2003)
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[Publications] 中瀬由起子, 中村太郎, 下田 親: "酵母の胞子形成研究の現状-細胞膜構築の原理をめざして"実験医学. 21.5. 126-130 (2003)
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[Publications] 中村太郎: "分裂酵母の胞子細胞膜はどのような分子構造で構築されるか?"〜ベストペーパーズ賞受賞者からのお便り〜 GSJコミュニケーションズ日本遺伝学会. 26 (2003)
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[Publications] Shimoda C, Nakamura T: "The molecular biology of Schizosaccharomyces pombe"Springer. 443 (2003)