2003 Fiscal Year Annual Research Report
酸性分子シャペロン群によるゲノム-タンパク質複合体の機能調節
Project/Area Number |
15032252
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
百瀬 文隆 北里大学, 北里生命科学研究所, 助手 (90332204)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 恭介 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (40180492)
|
Keywords | 宿主因子 / 核酸-タンパク質複合体 / RNAポリメラーゼ / インフルエンザウイルス / アデノウイルス / 分子ウイルス学 |
Research Abstract |
インフルエンザウイルスゲノムからのRNA合成を促進する宿主因子RAF(RNA Polymerase Activating Factor)-2には主要成分として、酸性分子シャペロンであるp48とRNA認識・結合に関わると予想されるp36が存在する。両者の相互作用機構およびウイルスRNA合成促進活性について解析を進めた。組換えバキュロウイルス系を用いることによりp36の大量調製に成功した。p48との相互作用部位をペプチド単位で同定することに成功したが、特異的な配列モチーフの決定には至らなかった。p48がRNA合成全体を促進するのに対し、p36は短鎖モデルウイルスゲノムからのRNA合成を促進し、内在性ゲノムからの合成は逆に低下させることが判明した。また組換え体を用いてRAF-2の再構成を行った結果、再構成RAF-2は精製RAF-2画分と同様のRNA合成促進特性を示すことが判明した。 アデノウイルスゲノム-タンパク質複合体の構造変換に関わる酸性分子シャペロンについては、TAF(Template Activating Factor)-I、-II、-IIIの生理機能解析をすすめた。TAF-IIはすでに試験管内におけるヌクレオソーム形成反応を促進するタンパク質として同定されていたNAP(Nucleosome Assembly protein)-1と同一分子であった。出芽酵母を用いて、Nap1は細胞質に静的に存在するわけではなく動的に核-細胞質間を輸送されていることを示した。またNap1の核外輸送が細胞分裂の進行に重要であることを明らかにした。これまでに数多くのNap1相互作用分子が同定されていることから、Nap1は単にクロマチン形成に関わるヒストンシャペロンとして機能するだけではなく、核-細胞質間輸送過程にも関わるシャペロンという作業仮説(シャトリングシャペロン)を提唱した。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 永田恭介, 百瀬文隆, 滝沢直己: "インフルエンザウイルスのゲノム機能を支える宿主細胞因子"蛋白質・核酸・酵素. Vol.48 No.10. 1349-1356 (2003)
-
[Publications] van Leeuwen HC, Okuwaki M, Hong R, Chakravarti D, Nagata K, O'Hare P: "Herpes simplex virus-1 tegument protein VP22 interacts with TAF-1 proteins and inhibits nucleosome assembly but not regulation of histone acetylation by INHAT."J.Gen.Virol.. Vol.48 No.9. 2501-2510 (2003)
-
[Publications] Haruki H, Gyurcsik B, Okuwaki M, Nagata K: "Ternary complex formation between DNA-adenovirus core protein VII and TAF-Iβ/SET, an acidic molecular chaperone."FEBS Lett.. Vol.555 No.3. 521-527 (2003)
-
[Publications] Miyaji-Yamaguchi M, Kato K, Nakano R, Akashi T, Kikuchi A, Nagata K: "Involvement of Nucleocytoplasmic Shuttling of Yeast Nap1 in Mitotic Progression."Mol.Cell.Biol.. Vol.23 No.18. 6672-6684 (2003)
-
[Publications] 永田恭介, 村野健作, 加藤広介: "クロマチンと遺伝子機能制御 第V部 牛物種「ヒトモデルとしてのマウスとウイルスからみたクロマチン制御」(堀越正美編)"シュプリンガー・フェアラーク東京. 270 (2003)